永澤氏
経団連は9月22日、東京・大手町の経団連会館でイノベーション委員会企画部会(田中朗子部会長)を開催した。内閣府科学技術・イノベーション推進事務局の永澤剛参事官(総合戦略担当)から、政府における「次期科学技術・イノベーション基本計画」の検討状況等について、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 10年先を見据え科学技術政策を再構築
基本計画は、10年先を見据えた5カ年計画であることから、次期計画では2035年を念頭に置き、国内での人材不足の深刻化、国際秩序と地政学リスクの変化や気候変動・感染症などの地球規模課題に加え、近年の科学とビジネスの近接化、主要国による先端技術分野での戦略強化と政策競争等といった変化を踏まえる必要がある。
目指すべき社会像・国家像としては、従来の「Society 5.0」の理念を引き継ぎつつ、「令和の科学技術創造立国」として、若い世代が夢や希望を持てる国家の実現のほか、科学技術、イノベーションによるさまざまな社会課題の解決と持続的な経済発展、わが国としての戦略的自律性・不可欠性の確保等を掲げている。
■ 次期計画の方向性
未来の礎となる「科学」の再興、AIを活用した新たな科学研究(AI for Science)の追求、政策のガバナンス改革とともに、戦略的に重要な技術領域を特定し、産業化に向けて一気通貫の支援、国家安全保障政策との有機的な連携が大きな柱となる。
重要技術領域への政策的支援については、国家として、重要技術領域を特定し、研究開発から人材育成、拠点強化、スタートアップ支援、ルール形成まで、支援する仕組みを強化していきたい。
国家安全保障に関して、科学技術・イノベーションは、外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力を含む国力の源泉であることから、各政策との有機的連携が重要となる。
もちろん、研究力の抜本的強化として、公的研究資金の拡充、人材育成も重要テーマである。科学研究費助成事業(科研費)等の競争的研究費の拡充や基盤的経費の確保によるサポートはもとより、研究開発マネジメント人材の育成、確保、活躍推進も欠かせない。
【産業技術本部】
