経団連は9月30日、東京・大手町の経団連会館でカリフォルニア州 貿易・投資フォーラムを日本貿易振興機構(ジェトロ)と共催した。米国カリフォルニア州政府や州内企業関係者から成る貿易ミッション団を招き、州のビジネス環境や今後の協力分野等について説明を聴くとともに意見交換を行った。概要は次のとおり。
■ 日本とカリフォルニア州の貿易・投資の結び付きと人的交流
マー氏
フィオナ・マー カリフォルニア州財務長官は、日米経済関係の重要性と今後の協力の方向性に言及した。
カリフォルニア州と日本の関係は、貿易・投資の強固な結び付きに加え、人と人とのつながりによって支えられてきたと強調。日本は同州にとって最大級の貿易・投資相手国であり、自動車、電子機器、金融など幅広い分野で州の雇用と経済成長に貢献していると述べた。
同州からは、シリコンバレーのIT企業やロサンゼルスの映画スタジオ、セントラルバレーの農業などから多様な製品や文化が日本へ届けられており、大学・自治体間の長年の交流も経済関係の基盤となっていると説明した。
今後の協力深化に向け、(1)グリーントランスフォーメーション(GX)(2)デジタルイノベーション(3)労働力育成・教育(4)金融――の4分野が重要と指摘。これらの取り組みは企業のみならず、労働者や地域社会にも恩恵をもたらし、雇用創出やインフラ強化につながると述べた。加えて、21世紀にふさわしい強固で持続可能かつ包摂的なパートナーシップの実現を目指す決意を示した。
■ カリフォルニア州貿易ミッションの目的
クシダ氏
カリフォルニアアジア太平洋商工会議所のパット・フォング・クシダ会頭は、今回の訪日ミッションの目的を説明。
(1)貿易・投資・イノベーション分野でのパートナーシップの深化(2)サステナビリティ、テクノロジー、農業、エンターテインメント、文化など州の強みの発信(3)先端産業における新たな協力機会の創出――の3点を主な目的として挙げた。
本フォーラムをはじめ、訪日中に日本の官民関係者と意見交換を重ね、カリフォルニア州と日本の関係のさらなる発展を図っていく考えを示した。
■ パネル討議
フォーラム後半では、日米双方の代表者によるパネル討議が行われ、日本とカリフォルニア州の今後の連携の方向性について幅広い議論が交わされた。
エネルギー分野では、脱炭素化に向けて行政による制度設計とインセンティブ付与を通じて民間投資を促すことの重要性が指摘された。
教育分野では、大学間連携や留学プログラムなどを通じた人材交流の拡大が不可欠との認識が共有された。
イノベーションの促進には、国境や分野を超えた多様な人材で構成されるチームづくりが有効であることが確認された。
日本企業によるカリフォルニア州を含む米国への投資の実態や意義については、米国側への積極的な発信が重要との意見が示された。
これらの議論を通じて、両国が互いの強みを生かしながら持続可能な経済関係を一層強化することの重要性について認識が共有された。
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閉会後にはネットワーキングランチで交流をさらに深めた。
経団連は今後も米国各州との対話を重ね、重層的な日米経済関係の一層の強化に取り組んでいく。
【国際経済本部】
