経団連は11月10日、「『労働移動の積極的な推進』実現に向けたアクションプラン」を公表した。
2024年12月に公表した中長期ビジョン「FUTURE DESIGN 2040」(FD2040)では、40年の目指すべき姿として「リカレント教育等の充実と円滑な労働移動の推進・定着により、わが国の生産性が先進諸国トップクラスとなった結果、実質賃金と個人所得がプラスで推移する好循環が実現していること」を掲げた。
しかし、わが国の労働移動は十分進展しているとはいえない状況にある。
そこで同アクションプランでは、各年版「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)等に基づき、労働移動の積極的な推進のために必要な事項を、「企業・経済界が取り組む事項」「政府に要望する事項」「教育機関との連携事項」に分けたうえで、優先度と具体策、今後3年程度(26~28年度)を見据えたアクションを整理した。
優先度の高い主な事項を紹介する。
■ 社外での労働移動
企業の取り組みとして「採用方法の多様化」を挙げた。通年採用や経験者採用、カムバック採用の導入と拡大に向けて、経団連は、経労委報告への記述とその周知活動を通じた企業への働きかけ等に取り組む。
政府に要望する事項として、「労働移動推進型」雇用セーフティーネットへの移行を挙げた。経団連は、雇用保険法の基本手当の所定給付日数の見直しと再就職手当の給付率の改定に向けて、厚生労働省事務局との個別折衝や経労委報告等への記述、労働政策審議会での意見表明等に取り組む。
■ 社内での労働移動
企業の取り組みとして「社員の主体的なキャリア形成と実現への支援」を挙げた。キャリア形成面談や人事異動・配置転換、社内公募制やフリーエージェント(FA)制度の導入と拡充を通じた支援について、経団連は、経労委報告への記述とその周知活動を通じて企業に働きかけていく。
政府に要望する事項として「リスキリングを含むリカレント教育支援の拡充」を挙げた。マイクロクレデンシャル(注)に対する社会の理解促進に向けて、経団連は、マイクロクレデンシャルを提供する大学の事例紹介等を通じて柔軟かつ気軽に学ぶ環境整備を働きかける。
■ 教育機関との連携
産学連携による、各企業の重点分野等のリカレントプログラム設計や企業ニーズに即した教育プログラムの実施に向け、経団連は大学や教育委員会との意見交換の実施等にも取り組んでいく。
(注)修得したい知識・スキルを柔軟かつ気軽に学ぶことができる学修プログラム
【労働政策本部・労働法制本部】
