佐々木氏
経団連は11月18日、都内で労働法規委員会労働安全衛生部会の3ワーキンググループによる合同会合を開催した。厚生労働省労働基準局安全衛生部の佐々木孝治労働衛生課長から「最近の労働衛生の動き」について説明を聴いた。概要は次のとおり。
■ ストレスチェック
精神障害の労災認定件数は2024年度に過去最多の1055件に達し、その原因となった出来事の上位をハラスメントが占める。23年度の労災認定件数を分析すると、労働者数50人未満の小規模事業場が全体の半数を占める。事業場の規模にかかわらず、メンタルヘルス対策は重要な課題だ。
そこで労働安全衛生法を改正し、小規模事業場にもストレスチェックの実施を義務付けることとした。現在、有識者検討会のもとにワーキンググループを設け、外部委託先の選定・契約や医師の面接指導を含め、小規模事業場に即した実効性のある実施体制・実施方法を盛り込んだマニュアルを検討しており、年度内の策定を目指している。
■ 治療と仕事の両立
通院しながら働く労働者は約4割に上り、疾病を理由とした退職者の約4分の1は治療開始前に退職している。治療と仕事の両立支援は重要な課題だが、両立支援の制度や体制を整備している事業場は少数にとどまる。
そこで労働施策総合推進法を改正し、両立支援に必要な措置を講じる努力義務を事業主に課すとともに、その措置の適切で有効な実施を図るための指針を策定することとした。
有識者検討会で現行の「治療と仕事の両立支援ガイドライン」を参考に指針案を検討しており、25年度内に公布を予定している。
■ 熱中症予防対策
職場での熱中症による死亡者数の増加を受け、労働政策審議会安全衛生分科会の議論を経て、25年6月に改正労働安全衛生規則が施行された。
熱中症の重篤化による死亡災害を防止するため、事業者には、(1)早期発見のための体制整備(2)重篤化を防止するための措置内容や実施手順の作成(3)関係作業者への(1)(2)の周知――が義務付けられた。
今後、有識者による検討会を立ち上げ、改正省令の効果を検証するとともに、熱中症の予防対策を議論していく。
■ 健康診断の検査項目
経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太方針2023)や規制改革実施計画(23年6月)を受け、厚労省は「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会」を開催し、24年11月に「中間とりまとめ」を公表した(24年12月5日号既報)。
今後、同とりまとめに従い、女性特有の健康課題に関する健診機関や事業者向けのマニュアルを作成する。あわせて、(1)眼底検査(2)血清クレアチニン値検査(3)骨粗鬆症検査(4)胸部エックス線検査(5)心電図検査――等について、健診項目の追加・維持の可否を議論していく。
■ じん肺診査ハンドブック
じん肺法に基づく健康診断の実施手法や検査結果の判定方法を定めた「じん肺診査ハンドブック」は、1978年に発刊以降、大幅な改訂を行っていない。
そこで、これまでの医学的知見の集積や、通知・通達の改正等を踏まえ、同ハンドブックを改訂する。労働政策審議会じん肺部会で検討中の改訂案では、じん肺診査におけるCT検査の位置付けの明確化や、喀痰中好中球エラスターゼ検査の取り扱いの追記等を盛り込んだ。
新たなハンドブックは、2026年度からの適用開始を目指している。
【労働法制本部】
