スーン氏(画像=同氏ウェブサイト)
シューマー氏(画像=同氏ウェブサイト)
米国連邦議会で、下院のリーダーは下院議長であり、上院のリーダーは院内総務である。
下院議長は米国憲法に記載されている役職であり、大統領の死亡や辞任の際の継承順位で副大統領に次ぐ2番目である。これに対し、上院院内総務は憲法にも継承順位にも登場しない。この違いはそれぞれの役職の選出方法の違いに起因している。
下院議長の選出には多数派党の過半数ではなく、野党を含めた全下院議員の過半数票が必要となる。
野党の反対票を上回る票を確保できるまで、2023年10月に解任されたケビン・マッカーシー議長の後任選出に3週間を要した。
これに対し、上院院内総務は、多数党院内総務(Majority Leader)と少数党院内総務(Minority Leader)がそれぞれの党の議員の過半数で選出される。
そのため、下院議長は下院全体のリーダーといえるが、上院院内総務は自党のみのリーダーとして党派色が強い。
上院多数党院内総務は上院の全ての議事アジェンダをコントロールすることができ、自党にとって有利な法案を優先的に議決し、不利なものは取り上げない。そのためには自党全議員の選挙事情などを理解し、その調整を行う必要がある。
上院院内総務を務めた後に駐日大使を務めたマイク・マンスフィールド氏やハワード・ベーカー氏はその調整能力と経験を買われたといえる。
現職の上院院内総務の2人は評価が分かれている。共和党のジョン・スーン院内総務は先般の政府閉鎖中も共和党議員をまとめることができたのに対し、民主党のチャック・シューマー院内総務は最終的に政府再開に賛成票を投じた8人の造反を党内から出すなど求心力低下が否めない。
最近の調査では、民主党スタッフの間ですら自党のシューマー氏よりスーン氏の実力を評価する声が多かった。議会内での協調や連携よりメディアで目立つことを優先する議員が増えるなか、党内調整という伝統的な役割を担う院内総務のかじ取りは両党において難しくなっている。
【米国事務所】
