講演する筒井会長
経団連は12月15日、経済産業省、ガバナンス・サミット2025実行委員会と共に東京・大手町の経団連会館で「ガバナンス・サミット2025」を開催した。今回で6回目の同サミットは、日本企業が取り組むべきガバナンス改革の方向性について、各界の第一人者を招き、さまざまな視点から議論することを目的としている(注)。
冒頭、ガバナンス・サミット2025実行委員会の榊原定征委員長が登壇。日本企業のガバナンス改革の成果に触れつつ、現在、中長期視点で成長投資や人的資本投資を加速させていく経営が求められており、そのために迅速で質の高い意思決定を可能とする、実効性のあるガバナンスが重要と指摘した。
そのうえで、(1)「強い取締役会」実現に向けた経営陣の意識改革(2)ステークホルダーとの信頼関係の強化による事業環境の激変への対応――が必要とした。
経産省の畠山陽二郎経済産業政策局長は、成長投資を後押しするコーポレートガバナンスの強化について講演した。
日本経済の停滞は、設備投資、研究開発投資、人的投資等の停滞が要因の一つだと指摘。投資と賃金引き上げの手控えを回避し、企業の成長力を強化するには、政府が、予算や税制を含めた総合的な政策メッセージを出すことが重要と示した。
「稼ぐ力」の強化に向けて、「攻めの経営」の基盤であるコーポレートガバナンスの取り組みの一層の深化が求められると述べた。
経団連の筒井義信会長は、12月に公表した意見書「持続的な成長に向けたコーポレートガバナンスのあり方」を紹介。
企業が設備、研究開発、人的資本、新規事業といった成長投資から生み出された付加価値を株主・投資家のみならず、従業員や地域社会など多様なステークホルダーに適切に還元し、新たな投資へとつなげていく、投資牽引型の循環を実現することが重要と述べた。
ビデオメッセージでオックスフォード大学のコリン・メイヤー教授は、日本企業が成功を収めるうえで、政策保有株式を保有する企業が、長期的なパーパスにコミットする役割を果たす可能性があるとし、効率性と社会・環境の調和のバランスをもたらす基盤となり得るとの考えを示した。
ダイキン工業の十河政則会長兼CEOは「変化の時代に挑戦し続ける経営」と題して講演。
自社の強みを生かした取り組みを紹介したうえで、変化の激しいこれからの時代の経営は、(1)「解くべき問い」を立てる力の養成(2)「正解」のないことに答えを出す決断力(3)過去の成功体験を否定する「創造的破壊」――が重要と強調した。
その後のパネル討議では、TDKの齋藤昇社長執行役員CEOが、成長領域への資本配分を優先する「先手の事業ポートフォリオマネジメント」の推進を掲げ、AIエコシステムに貢献する取り組みの強化を通じて成長を目指していると紹介した。
野村総合研究所の柳澤花芽社長は、顧客に最適なシステムの実装を提案することでITとリサーチを組み合わせた経営の価値を提示し、AI時代にその強みを発揮できるよう備えを進めていることなど、自社の取り組みを紹介した。
そのうえで、インベスコ・アセット・マネジメントの小澤大二元取締役運用本部長兼CIO、経産省経済産業政策局の鮫島大幸産業組織課長、東京都立大学の松田千恵子教授、日比谷パーク法律事務所の松山遥パートナー弁護士を交え、おのおのの知見を踏まえながら、企業の「稼ぐ力」につながるガバナンス改革等を巡り活発に議論した。
(注)同サミットの内容や資料はウェブサイトに掲載予定
ガバナンス・サミット2025ウェブサイト
https://gsummit.jp/
【ソーシャル・コミュニケーション本部】
