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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年2月26日 No.3719 2026年の春季労使交渉が本格スタート -第129回経団連労使フォーラムを開催

筒井会長

芳野氏

経団連(筒井義信会長)と経団連事業サービスは1月30日、東京・大手町の経団連会館で、「第129回経団連労使フォーラム」を開催した。同フォーラムは毎年1月に行われ、その年の経団連の春季労使交渉に対するスタンスを示す「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)の内容の周知のほか、春季労使交渉のポイントや労働に関する諸課題などの共有を目的としている。

今回は「生産性の改善・向上を通じた賃金引上げの力強いモメンタムの『さらなる定着』」を総合テーマに、企業の経営者・人事労務担当者、労働組合の関係者ら約300人が、会場とオンラインで出席した。

■ 開会あいさつ

筒井会長は、日本はデフレを脱したものの、デフレマインドは完全に払拭されてはおらず、米国の関税措置の影響や為替の動向、国際情勢の不安定さによる先行き懸念がぬぐえない状況にあると指摘。こうしたなか、経団連は、2025年に定着し始めた賃金引き上げの力強いモメンタムを「さらなる定着」につなげるべく、26年の春季労使交渉における経営側の基本スタンスとして、ベースアップ実施の検討を賃金交渉の「スタンダード」にするとの方針を打ち出したと強調した。

働き手の約7割を雇用する中小企業が賃金引き上げ原資を安定的に確保できるよう、中小企業自身による生産性向上に加え、適正な価格転嫁に向けたサプライチェーン全体での取り組みや政府・地方自治体による支援、社会全体での適正な販売価格アップの受け入れが重要とも主張。働き手のエンゲージメント向上とイノベーション創出のため、「労働移動の推進」と「柔軟で自律的な働き方の実現」が重要な施策であり、特に「裁量労働制の拡充」は喫緊の最重要課題と述べた。

26年がベースアップ実施検討の「スタンダード元年」と位置付けられること、建設的で未来志向の労使交渉が行われることへの期待を寄せた。

■ 講演

1.経済講演

「2026年日本経済の行方」と題して、みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストが講演した。

現在の円相場に関し、(1)ここ4年間円安が続いており「ドル安下での円安」がニューノーマルとなっている(2)世界がドル建て資産を回避するなかで円も一緒に回避されている(米国との一蓮托生リスク)(3)日銀の利上げがインフレに追い付いていない(政治が利上げよりも円安を志向)――との見解を示した。

そのうえで、この10年以上円安局面が続いていると捉えることができると主張し、構造上の要因として、貿易赤字であること、世界第3位の経常黒字国であるものの黒字のほとんどが対外直接投資で「戻らない円」となっていること、経常黒字でもキャッシュフローベースでは赤字のケースもあること――を挙げた。

最後に、日本のサービス収支の構造は「ヒト(観光収入)VSデジタル(コンピュータサービス支出、コンテンツ支出)」の時代に入っており、35年には7兆~10兆円の赤字が見込まれると紹介した。

2.産別労組リーダーによる講演

全日本自動車産業労働組合総連合会(自動車総連)の佐藤好一副事務局長、全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟(UAゼンセン)の永島智子会長、ものづくり産業労働組合(JAM)の安河内賢弘会長、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会(電機連合)の橋本修平事務局長が、26年の労使交渉に臨む産業別労働組合の考え方をそれぞれ説明した。

3.芳野連合会長講演

経団連の藤原清明専務理事による26年版経労委報告(注)の解説の後、日本労働組合総連合会(連合)の芳野友子会長が「2026春季生活闘争」方針について講演した。

芳野氏は、産業・企業、経済・社会の活力の原動力となる「人への投資」を起点としてステージを変え、経済の好循環を力強く回していくことを目指す「未来づくり春闘」を訴えるのは今回で5回目と指摘。

基本スタンスに掲げた3点((1)日本の実質賃金を1%上昇軌道に乗せ、これからの「賃上げノルム」にしよう(2)「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、格差是正と分配構造の転換に取り組もう(3)「みんなの春闘」で労働組合に集う仲間を増やし、集団的労使関係を広げよう)に基づき、賃上げできる環境整備と賃金の「格差是正」、全ての労働者の立場にたった働き方の改善、政策・制度の実現――に向けて取り組むと表明した。

4.企業の人材戦略に関する事例紹介

企業と社員の成長を目指す人材戦略をテーマに、三井住友海上火災保険の井口直紀取締役常務執行役員、三菱電機の阿部恵成常務執行役CHROが、それぞれ自社の具体的な取り組みを紹介した。

(注)26年版経労委報告は経団連事業サービスのウェブサイトで購入可能
https://www.keidanren-jigyoservice.or.jp/pub/cat/91171d5a29bf0b059fd89ef45ffe1b0bc9ef9844.html

【経団連事業サービス】

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