ウォーカー氏
(画像=ジャパン・ソサエティーウェブサイト)
経団連総合政策研究所(筒井義信会長)は2月12日、東京・大手町の経団連会館でジャパン・ソサエティーの理事長を務めるジョシュア・W・ウォーカー博士の講演会を開催した。概要は次のとおり。
米国が劇的に変化するなか、日本は何が起きているのかを十分に理解していない。日本は自分たちを取り巻く世界、同盟関係に十分適応してきたとは言えない。
80年にわたる日米同盟は何としても守るべきだが、大きな岐路に直面している。米国はベネズエラのマドゥロ大統領を拘束し、グリーンランドを脅かして欧州との関係が破綻し、中東やイランへの脅威となっている。
相対的に世界で重要な地域となるアジアで、巨大市場の米中の間に日本はある。そのリーダーは一番新しく、女性で、かつ国民の支持を得ている。トランプ大統領のディールという型破りなアプローチが日本を不安にさせているなか、高市早苗内閣総理大臣は3月に訪米する。
日本は国連と国際秩序を必要としているが、米国はもはやその見方を共有していない。この環境で日本は何をすべきか。日本のリーダーは、4年間の政治的安定を背景に世界を回ることができる。
トランプ大統領は間もなく中間選挙を迎え、その影響はすでに見え始めている。ワシントンでの議論は国内問題が中心で、日本の歴史的選挙が語られることはほとんどない。日本が重要ではないという意味ではなく、日本は自らを説明する仕組みを構築しなければ、これまでのように米国政府が日本の利益を代弁してくれることはない。
イスラエルやサウジアラビアは米国の親密な同盟国だが、米国内政治を巧みに利用することを恐れていない。
米国には千を超える商工会議所があるが、時間とともに影響力を弱め、ビジネスリーダーが大統領と関わる方法は劇的に変化している。
日本では全てが東京にあり、東京の進化とは中央集権化だった。その一部である経団連も非常に重要な役割を果たしているが、日本はグローバル・リーダーシップにおいて、より努力する必要がある。多くの意味で、これまで以上に人格や個性が重要になっているからだ。
先日、ニューヨークで「国際ヨガの日」があり、国連本部前では、インドのモディ首相と共に、100万もの人々がヨガマットを広げていた。武道の日や生け花の日、茶道の日を世界的イベントにする姿は、日本のスタイルには合わないだろう。
しかし、国際社会では、往々にして声の大きい者が勝つ。日本の外交官が韓国人やインド人は英語が上手だというのをよく耳にするが、彼らの英語が特別にうまいわけではなく、確信と情熱をもって話すので私たちは耳を傾けざるを得ない。
私は、どの大統領が次に就任しようとも、ワシントンが近い将来に元の姿に戻るとは思わない。関税政策は今後も続く。この移行期に、高市首相がトランプ大統領をどう扱うかは重要だ。
「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」で孤立している今こそ、高市首相がトランプ大統領に説明できる存在であることが必要で、強いビジネスリーダーや社会・文化のリーダーたちが共に支える必要がある。
日本は非常に大きな影響力を持っている。日本は米国にとって最大の投資国で、多くの雇用と機会を提供している。
しかし、ほとんどの米国人はその事実を知らない。日本製鉄は米国的なやり方で、ロビイスト、弁護士、PR専門家を雇い、多額の資金を投入し、最終的に望む結果を得た。
日本の今後5年間には大きなチャンスがあり、それをつかむには、米国との同盟関係をうまくかじ取りし、中国との関係もどう築くかを考えなければならない。
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最後に会場の出席者から質問を受け、ディールでは最終場面に強いプレーヤーが必要であることや、民間外交では経営者の個性が必要であることなどが解説された。
