倉地氏
神原氏
経団連は3月18日、東京・大手町の経団連会館で労働法規委員会国際労働部会(市村彰浩部会長〈当時〉)を開催した。
日本電気(NEC)の倉地崇裕コーポレートITシステム部門経営システム統括部プロフェッショナル、神原裕美ピープル&カルチャー部門HRトランスフォーメーション統括部シニアディレクターから、同社におけるHR(人材)領域のAI活用について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ NECのAI活用
当社で2024年ごろに開始した生成AIの取り組みは、個人の業務を効率化するための議事録やメール案の作成・添削など、単一の業務タスクをAIに依頼するAI-Ready(AIを使い始めた段階)にあった。
25年は全社レベルのAI活用に取り組んでいる。人間がAIにプロンプトを一つずつ入力するのではなく、AI同士がアウトプットをリレーでつなぎタスクを実行するなど、ワークフロー全体をAIが担う「AIエージェント」を活用している。
当社は、With AI(AIはパートナー)の状態であり、(1)AIが存在することが自然で、ないことは不自然だと扱うこと(2)AIの特性や性格を把握し、AIと人が互いに能力を補完し合いながらAIを最大限活用すること――を通じて、「AIネイティブカンパニー」を目指している。
■ 経営マネジメントにおけるAI変革
当社では、森田隆之社長兼CEOの社内外でのコメントやメッセージを学習させたAI「モリタス」をはじめ、HR領域やリスクマネジメント、知的財産などさまざまな専門性を持ったAIを作成している。
これらのAIに当社の経営指標を可視化した経営コックピットの内容を分析・提案させている。例えば、モリタスに「AIネイティブカンパニーに向けた社長の取り組み、覚悟を教えて」と聞くと、本人の音声で回答する。
■ NEC AIキャリアトーク
「NEC AIキャリアトーク」は、国家資格のキャリアコンサルタントや、約40の代表的なキャリア理論を学習したAIが、社員が自らのキャリアを考えるきっかけを提供するキャリアコンサルティングを行う。社内制度や社員の相談傾向、100以上ある当社のジョブタイプも学習させている。
AIは人間らしい共感的な応答をし、いつでも何時間でも相談が可能だ。利用した社員は「自分の考えが整理された」など、約90%が満足している。最近ではキャリア相談だけでなく、1 on 1や社内公募の職務経歴書作成の準備に活用するケースもある。
■ HRBPサポートAI
HRBP(Human Resource Business Partner)の業務もAIがサポートしている。例えば、HRBPが今後の要員計画を部門長や統括部長と一緒に作成する際に、中期経営計画やジョブの定義、ジョブタイプ別の要員数、パルスサーベイ結果などを事前に学習したAIが、計画に関連するさまざまなアイデアを出してくれる。
サクセッサー(後継者)の検討においては、人間が先にリストアップし、見落としがないかをAIで確認している。その結果、人材候補数が22%増加した。
当初は、要員計画の検討がメインの活用方法だったが、現在では、ポジションマッチングやパルスサーベイ分析、ジョブディスクリプション作成などにも活用している。
■ AIチャットボット
業務効率化のため、人事部門への問い合わせの1次窓口をAIチャットボットが担当している。過去の問い合わせ履歴をAIが自動抽出してFAQ(よくある質問)を作成し、その内容が最新の社内規程に則しているか別のAIで照合することで、回答精度を高めている。
どのような社内規程があれば社員・人事双方の問い合わせの所要時間を削減できたかを推計し、見直しを提案するAIも存在する。
具体的には、(1)AIが法改正の動向を月1回確認(2)社内規程に修正の必要があるかを提案(3)AIがノウハウのある社員にヒアリング(4)人事業務における例外事例への対応方法などの暗黙知を言語化してナレッジを作成――を行い、人事社員による問い合わせ対応をサポートする。
【労働法制本部】
