経団連自然保護協議会(西澤敬二会長)は3月18日、東京・大手町の経団連会館で、バードライフ・インターナショナルのチーフサイエンティストであるスチュアート・ブッチャート博士の講演会を開催した。
ブッチャート氏が「企業にとってなぜ生物多様性の保全が重要か」をテーマに講演したほか、経団連自然保護基金が支援するプロジェクトについて、バードライフ・インターナショナル東京が報告した。概要は次のとおり。
■ ブッチャート氏講演
バードライフ・インターナショナルは世界最大の自然保護パートナーシップで、119カ国の124組織で構成されている。私たちの目標は世界の鳥類とその生息地、すなわち地球規模の生物多様性を保護することであり、そのために自然資源の持続可能な利用を進めるさまざまな企業と連携し、支援している。
現在ビジネスの価値創出の観点から生物多様性保全が注目されていることを踏まえ、バードライフでは、国際自然保護連合(IUCN)やコンサベーション・インターナショナル(CI)等の国際的な組織と共に、生物多様性評価ツール(IBAT)を支援している。
IBATは世界的に権威ある生物多様性データへの効率的なアクセスを提供することを目的として設計されたツール(ウェブベースのプラットフォーム)だ。
企業をはじめとするユーザーは、関わりのある地域の保護区域や生物多様性重要地域(KBA)を確認し、潜在的なリスク評価や戦略策定に役立てることができる。自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に沿った生物多様性レポートを作成することも可能だ。
今後、日本企業がIBATを活用する際の一助となるよう、現在東京で日本語を話せるプログラム担当者を募集している。
■ プロジェクト報告
当日は、経団連自然保護基金による支援を受けているバードライフ・インターナショナル東京からも、2件のプロジェクトについて進捗の説明があった。
1.ソングバードの絶滅回避と生物多様性保全プロジェクト
本プロジェクトは2023~25年度の3年間、インドネシア・ジャワ州で実施された。
地元業者による乱獲が発生しているソングバードの絶滅を回避し、個体数を増やし、安定させることを目的に、(1)村落資源管理協定の締結を通じた地域保全協定の条例化への取り組み(2)参加型マッピングおよび森林モニタリング体制の構築(3)東南アジア5カ国での調査とその成果のIUCNへの共有――などを行った。
2.絶滅危惧種アオメヒメバトの生計向上を通じた保全プロジェクト
本プロジェクトでは、ブラジル・ミナスジェライス州で、絶滅したと考えられていたアオメヒメバトの生息地の保全と個体数の増加に取り組んでいる。
地域住民の参加と協力を得ながら、保護区におけるセラード(サバンナの草原)環境の保全も進めている。
