堀田氏
経団連は6月19日、東京・大手町の経団連会館で教育・大学改革推進委員会(小宮暁委員長、小路明善委員長、橋本雅博委員長)を開催した。東京学芸大学の堀田龍也副学長・教職大学院教授から、次期学習指導要領を見据えた教育の情報化の現状と課題について説明を聴き、意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 次期学習指導要領
次期学習指導要領は、2024年末から検討が始まり、現在は総論を終えて各論の審議が進められている。
今回の改訂では、多様な個性や学校・地域の実情に応じた教育課程の弾力化に加え、情報化社会やAI時代に対応した教育内容への転換が重要な論点となっている。なかでもメディアリテラシーやテクノロジーそのものへの理解に加え、情報活用能力を全ての教科の学びを支える基盤的な能力として育成することが重視されている。
このため小学校では、新たに「情報の領域」を設けることや、中学校では技術分野と情報分野を発展的に統合した「情報・技術科」の創設、高校では各校が特色に応じた発展的な学習を展開できるよう、必履修科目「情報Ⅰ」に加えて選択科目「情報Ⅱ」の充実を図ることなどが検討されている。
■ デジタルな形態を含む教科書へ
これまで「デジタル教科書」と呼ばれてきたものは、法律上の教科書ではなく、検定を受けた紙の教科書をそのままデジタル化したものだった。
そのため無償給与の対象外であるとともに、内容も紙の教科書と同一であることが求められ、動画やインタラクティブ(双方向)なコンテンツなど、デジタルならではの機能を十分に盛り込むことが難しいという課題があった。
こうした課題を踏まえ、6月に学校教育法が改正され、紙とデジタルを組み合わせた教材も教科書と位置付けられることとなった。これによりデジタル部分も検定や無償給与の対象となり、自治体間の導入格差の解消が期待される。
全ての教科書をデジタル化するということではない。学年や教科の特性に応じて紙とデジタルを組み合わせたハイブリッド型の柔軟な活用が基本的な方向性だ。
■ デジタル活用の授業
GIGAスクール構想(注)の進展により、学校現場では情報端末を活用した授業が広がりつつある。児童生徒は自ら情報を調べ、実験や観察の様子を録画し、記録しながら学習を深めている。教師はクラウド上で学習状況を把握し、一人ひとりの状況に応じた助言や支援を行っている。
外国人の児童生徒への翻訳支援や、不登校や隔離期間中の児童生徒等の学習継続にも、デジタル学習基盤が活用されている。
答えを提示するのではなく、学習者の思考を促す「ガードレール付きAI」の活用も始まっている。子ども自身がAIとの対話を通じて考えを整理し、自らの考えを深める「壁打ち相手」として活用することが期待されている。
「探究的な学び」では、従来の作文や感想文だけでなく、英語、音楽、映像作品など、それぞれの興味や関心、得意分野を生かした学習成果の多様な表現も広がりつつある。
(注)ICTを活用した学習活動を実現するために、小中学校等に児童生徒1人につき1台の端末と高速大容量の校内通信ネットワークを一体的に整備する構想
【教育・自然保護本部】
