鈴木氏
経団連の金融・資本市場委員会企業会計部会(佐々木啓吾部会長)は6月16日、国際会計基準審議会(IASB)との意見交換会をオンラインで開催した。IASBの鈴木理加理事から、持分法プロジェクトのうち、特に未実現損益の取り扱いについて説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。
IASBでは2024年9月の公開草案の公表以降、多種多様なステークホルダーと幅広いアウトリーチを実施してきた。
26年2月の審議会までに寄せられたコメントをまとめると、特に未実現損益の取り扱いについて、欧州を中心とした多くの関係者から支持が寄せられている一方、日中の関係者からは一貫して強い反対があった。
これを受けてIASBでは、代替案を含めた幅広い可能性について検討した。その結果、26年5月の審議会では、未実現損益の全額を認識する方法、現行の未実現損益の認識を制限する方法のいずれかの選択適用を認めることを暫定的に決定した。
これは実務の不整合を減らすというプロジェクトの当初目的からすれば異例の対応だが、日本企業等で、関連会社との取引が事業活動の重要な一部を構成していることや、現行の処理を前提とした企業と投資家とのコミュニケーションが定着していることを踏まえたものだ。
一方で投資家からは、関連会社との重要な取引に係る利得や損失がどのように繰り延べられ、その後認識されているのかが見えにくいとの指摘もあった。
このため、各選択肢の透明性および比較可能性を確保する観点から、未実現損益の認識を制限する方法を採用する場合には、関連会社との取引に係る制限された利得や損失の期首残高から期末残高への調整表等を含めた開示要求事項を追加することについても、併せて暫定的に決定した。
これら開示要求項目の具体的な範囲や粒度については、次回以降の審議会でさらに議論を進めていく。
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意見交換では、未実現損益の取り扱いに対して質問やコメントが集中した。
企業側からは、以前から日本の関係者が訴えていた未実現損益の認識を制限する方法が選択適用とはいえ一部導入された点や、包括的な見直しを行わずに持分法に対する根本的な変更を行うべきではないとする日本側の主張に対し、軌道修正を行ったIASBの決定について、一定の評価が示された。
選択適用の導入に対しては、さまざまな環境下にある企業の実態を反映しない会計処理を誘発しかねない点や、財務諸表利用者の混乱を招きかねない点、同じ業界内で未実現損益を消去する企業としない企業が併存した場合、期末利益にゆがみが生じ、比較可能性が損なわれる恐れがある点など、多くの懸念の声が寄せられた。
認識を制限する方法が例外的、または全額認識に比べて劣後する処理であるとの誤解を生じさせないよう、開示要求事項のバランスに配慮すべきとの意見や、開示によって本質的な会計上の論点を補完するのではなく、持分法会計のあり方そのものについて十分な議論を行うべきとの意見も示された。
現行の未実現損益の認識を制限する方法を採用した場合、開示要求項目が大幅に増加する点や、全額認識する方法を採用した場合との開示要求項目数に差が生じる点など、開示項目の増加を懸念する声も多く寄せられた。
前述の意見に対し鈴木氏は「投資家からの透明性の要望には配慮する必要がある一方、むやみな開示要求事項の追加は行うべきではなく、企業に過度な実務負担を課すことがないよう留意する」とコメントした。
【経済基盤本部】
