前回は11月の中間選挙に向けた共和党予備選へのトランプ大統領の介入について述べたが(6月18日号既報)、民主党予備選でも数人の現職下院議員が敗退している。
ただし、共和党側は党のリーダーである大統領の反対による現職敗北であるのに対し、民主党側は党指導部の意向に反発した草の根の反乱の要素が強い。民主社会主義を掲げる急進左派候補が変革を求めて予備選に立候補し、民主党絶対優位の選挙区で現職を破る事例が続いている。
6月23日のニューヨーク州予備選では、ニューヨーク市内の二つの選挙区で民主社会主義者のゾーラン・マムダニ市長の推薦を受けた候補が現職の下院議員を破り、別の選挙区では引退する現職の後継指名候補を破った。
同月30日のコロラド州予備選では、在職30年目のダイアナ・デゲット下院議員が、近年力を伸ばしている団体「米国民主社会主義者」(DSA)の支持を受けた29歳の新人候補に敗れた。デゲット議員は下院日本研究グループ共同議長を長年務めている親日家だ。
この動きを民主党内の社会主義傾倒と受け止める向きもあり、反ユダヤ主義、不法移民取り締まり廃止、警察への反対などの過激な政策推進につながるとの懸念もある。
一方で、イデオロギーよりも結果を出せない党指導部への不満が現職追い落としの動きとして表れているとも考えられる。民主党を「ぶっ壊す」ことも辞さない急進左派議員が2027年の新議会で増えることになるが、その数は10人程度で、数としては大きな勢力ではない。
しかし、大方の予想どおり民主党が下院の過半数を獲得しても僅差となれば、予算案通過妨害や下院議長降ろしまでやってのけた共和党フリーダムコーカス(注1)のように人数以上の影響力を持つ混乱分子となる可能性がある。
かつてのティーパーティー運動(注2)は政策的に行き詰まっていた共和党を活性化させたが、その候補が激戦州・区を取りこぼすなど選挙結果としてはまちまちだった。今回の民主党予備選の動きが指導部に対する短期的なかんしゃくに過ぎないのか、それとも中長期的な新たな進化につながるのか注目に値する。
(注1)保守強硬派の共和党下院議員による議員連盟
(注2)民主党のオバマ政権の政策に対抗して発足した「小さな政府」を目指した保守派の草の根運動
【米国事務所】
