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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年7月30日 No.3739 わが国の経済情勢の展望 -常任幹事会/河野龍太郎氏が講演

経団連は7月1日、東京・大手町の経団連会館で常任幹事会を開催した。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト(東京大学先端科学技術研究センター客員教授)が「わが国の当面の経済情勢と中長期的な展望」と題して講演した。概要は次のとおり。

■ 国際政治経済の動向

近年、米国をはじめとする先進国で、アンチ・エスタブリッシュメント運動が広がるとともに、脱グローバル化が進んでいる。この背景には、冷戦終結後のグローバル化によって、高い教育を受けた層に所得が集中し、格差が拡大・固定化したことがある。

近頃の相互関税やベネズエラ侵攻、中東危機を見れば、米国はもはや国際秩序や国際経済の安定を担う覇権国の座を降りたと言える。今後は地政学リスクが常態化し、負のサプライショックが続くことにより、高インフレ・高金利の時代を迎える可能性が高い。

■ AI投資ブーム

AIは、生産性向上や新しいビジネスの創出だけではなく、システムの脆弱性発見にも活用されるようになってきた。サイバーセキュリティの観点からも、企業は常に最新のAIを導入することが不可欠になっている。

このため現在のAI投資ブームは一過性のものとはならず、しばらく続くのではないか。AIへの投資は企業の負担になり得る一方、膨大な投資により、最終的にAIサービスの価格は低下していくと考えられる。

■ 日本経済と金融政策

AI投資ブームの恩恵などもあり、中東危機後も日本では、機械受注、銀行貸し出し、賃金などの経済データが総じて良好だ。消費も底堅い。全国的に人手不足が生じており、日本経済はほぼ完全雇用の状態にある。

こうしたなか、需給ギャップはタイトであり、円安や原材料コストの上昇などもあって、インフレ圧力が高まっている。

2026年6月に日本銀行は政策金利を1%へ引き上げたが、前述の経済ファンダメンタルズを踏まえれば、さらなる引き上げを検討すべき局面にあるのではないか。政策金利の引き上げが遅れれば、長期金利の上昇や円安を助長し、さらなるインフレを招くリスクがある。

■ 日本の課題

日本が解決すべき大きな課題は、生産性の向上が実質賃金に十分反映されていないことだ。

1990年代末以降、日本の時間当たり生産性は約3割上昇したが、欧米とは異なり、実質賃金はほとんど伸びていない。これはメインバンク制が崩れた後、各企業が長期雇用を維持するために自己資本を積み上げる必要に迫られたことが大きく影響している。

その後も、2015年のコーポレートガバナンス改革によって株主還元が強化され、労働分配率が低下した。

欧州では、株主が取るリスク分を超えた収益を従業員と株主が分かち合う社会慣行があり、生産性の上昇とともに実質賃金も伸びている。日本でも、こうした社会慣行を確立することが求められる。企業には、3年連続5%台の賃金引き上げに満足せずに取り組んでほしい。

【総務本部】

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