7月2~5日、米国・ロサンゼルスで「アニメエキスポ2026」が開催された。
毎年開催されるこのエキスポは、北米最大の日本ポップカルチャー・アニメ関連イベントで、4日間にわたり、展示会、グッズ販売、パネルイベント、ライブ、交流会などが実施される。
コンテンツ産業の振興は成長戦略の柱の一つとされており、経団連事務局は2~4日にかけてエキスポを視察した。概要は次のとおり。
■ 海外展開の仕掛け
エキスポの参加者は、日本のコンテンツの海外ファンの急速な拡大に伴って年々増加している。第35回となる2026年は、過去最大の延べ42万2000人が参加した。
会場は熱気と混雑に包まれ、参加者は好みのキャラクターのコスチュームやTシャツを着て、イベントやグッズ購入、ファン同士の交流を楽しんだ。主催者によると、経済効果は1億1500万ドル以上だという。
出展は400社以上で、出版、アニメ制作、放送、ゲーム、配信プラットフォームなどの日本のリーディングカンパニーが出そろった。各社は展示ブースやセミナーを通じて書籍、アニメ、ゲームなどを宣伝するほか、観客の反応を確認し、観客からアンケートを実施するなどのテストマーケティングを行う。
出展企業からは「一度にこれほど多くの生の海外顧客に直接会える好機は他にない」との声が聞かれた。
配信プラットフォームのクランチロールが主催した「鬼滅の刃」や「薬屋のひとりごと」などの人気イベントでは、7000人超収容のシアターが満席となった。
コンテンツは制作・提供する企業以外にも波及効果が期待できる。グッズや関連商品の販売はエキスポの強みの一つで、会場には衣類、玩具、カプセルトイなど幅広い商品が並んだ。
NTTドコモは、Vチューバーのライブ応援と連動させた体験デモを通じて、人間の感覚拡張技術「フィールテック」に対する顧客の反応を探った。
聖地巡礼のインバウンドを促す日本航空(JAL)のほか、食品企業も参加するなど、幅広い産業を巻き込む動きも進みつつある。
■ 課題と新たな挑戦
政策的な議論も行われた。問いの一つは、日本の知的財産(IP)の海外展開が持続的に成功し、日本の経済的利益につながるのかという点だ。
日本のポップカルチャーを支援する横断的コミュニティPOP POWER PROJECTは、パネル討議を初めて主催し、コンテンツの海外展開を支える要因を議論した。Re entertainmentの中山淳雄代表と共に登壇した企業関係者は、海外に展開する際のローカル市場との緊密な連携、SNSやインフルエンサー活用の重要性を強調した。
別の配信プラットフォームを巡るパネルでは、アニメクリエーターの低賃金問題など制作環境の改善策や、海賊版サイト利用を巡る道徳的課題についても議論が交わされた。
今回の視察では、講談社が25年にハリウッドに設立した映像制作会社Kodansha Studiosも訪問した。
講談社はこれまで数々のIPを米国の映画制作会社にライセンスしてきたが、ライセンス収入は許諾した権利の価値や期間に対して十分とはいえず、10年近く塩漬けにされて機会損失をもたらした契約も少なくなかった。
そこで新会社を設立し、脚本制作を含む、自社のIPを基にした実写映画・ドラマ企画のパッケージングに出版社として初めて挑戦している。
◇◇◇
アニメは日本のエンターテインメントコンテンツの主戦場の一つだ。アニメエキスポの重要性は今後さらに増していくとみられる。一方でコンテンツファンが生まれるのはエキスポだけではない。官民を挙げた有機的で持続的な仕掛けが不可欠だ。
【米国事務所】
