あいさつする筒井会長
経団連は7月9日、大阪市内で関西会員懇談会を開催した。筒井義信会長、片野坂真哉審議員会議長、各副会長、関西地区の会員ら約430人が参加。「『投資牽引型経済』を確立し、力強い成長を生み出す」を基本テーマに意見交換を行った。
懇談会の開催に先立ち、関西経済連合会(関経連)首脳と、(1)2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で披露された最先端技術等の実装化・産業化(2)地域経済活性化に向けた広域連携の取り組み(3)自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化に向けて(4)コーポレートガバナンスの推進――をテーマに意見を交わした。
懇談会の開会に当たり筒井会長は、不安定な国際情勢や少子高齢化・人口減少などの複合的な危機を乗り越え、力強い経済成長を実現するためには、国内での設備投資、研究開発投資、賃金引き上げを含む人的投資からなる「三位一体の国内成長投資」が不可欠だと指摘した。
そのうえで、「26年は『投資牽引型経済』の確立に向けた実行のフェーズ」と位置付け、「官民連携を一層強化しながら、三位一体の国内成長投資の推進に取り組み、『投資牽引型経済』の確立、さらなる『成長と分配の好循環』の実現を目指す」と述べた。
27年3~9月に横浜市で開催される2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)への来場と機運醸成への支援も呼びかけた。
続いて、6月3日の経団連定時総会で選任された片野坂審議員会議長、深澤祐二副会長、岩田圭一副会長、小宮暁副会長、奥田健太郎副会長、秋池玲子副会長が抱負を述べた。
意見交換では、関西経済の活性化と産業競争力強化の二つをテーマに議論した。
近鉄グループホールディングスの若井敬社長から「関西広域観光の発展と大阪ベイエリア開発」、京都銀行の安井幹也頭取から「スタートアップへの投資等」、カナデビアの桑原道社長から「資源循環とグリーントランスフォーメーション(GX)で築く、関西産業の競争力」、タカトリの増田誠社長から「半導体製造装置産業への国家支援強化に関する提言」、神戸天然物化学の真岡宅哉社長から「産業競争力強化に向けた受託開発製造機関の役割と挑戦」――について、それぞれ発言があった。
これに対し経団連から、
- (1)5月公表の提言で示したとおり「科学技術立国」の実現には、研究開発投資の拡大や産学の間の人材流動性の向上、スタートアップ振興、人文・社会科学の基盤強化などが求められる(佐藤恒治副会長)
- (2)半導体は国家安全保障と産業競争力を支える戦略物資であり、AI・ロボット等の実装にも不可欠。関西地域には半導体の製造に関わる企業や研究者が多く存在しており、半導体産業を支える重要な拠点の一つとなることを期待している(時田隆仁副会長)
- (3)GXと資源循環の取り組みは、脱炭素化のみならずエネルギー安全保障や産業競争力の強化の観点からも重要。排出量取引制度(GX-ETS)の活用やGX製品・サービスの需要創出、廃棄物等の活用などが求められる(岩田副会長)
- (4)人口減少下に労働生産性を高めるためには、デジタル技術の活用による高付加価値化・効率化、多様な人材の活躍促進、労働移動の円滑化、裁量労働制の拡充等が必要だ(長澤仁志副会長)
- (5)中長期ビジョン「FUTURE DESIGN 2040」(FD2040)で提唱した「新たな道州圏域構想」を踏まえ、地域ごとの産業クラスターの形成や、観光・農業・防災・減災等の分野における広域連携が進むことを期待している(久保田政一副会長)
――との発言があった。
住友電気工業の松本正義会長(関経連会長)は、大阪・関西万博の成果をレガシーとして関西・日本の成長につなげる重要性を述べ、「未来創造会議」において最先端技術の実装化・産業化に取り組む旨を紹介した。あわせて、マルチステークホルダー資本主義に基づく取り組みに言及するとともに、ワールドマスターズゲームズ2027関西に向けた協力を呼びかけた。
閉会に当たり片野坂審議員会議長は、大阪・関西万博のレガシーを一過性のものとせず、関西経済・日本経済全体を活性化していくことが必要と述べた。そのうえで、GXや資源循環、人材育成、サプライチェーン強靭化などの課題に官民一体で取り組み、「投資牽引型経済」の実現につなげていくことが重要と締めくくった。
【関西事務所・総務本部】
