シェインバウム大統領(中央)
経団連は7月13日、日本メキシコ経済委員会の倉石誠司委員長を団長とするミッションをメキシコシティに派遣した。自動車、自動車部品、機械、輸送、商社などの企業幹部が参加した。
クラウディア・シェインバウム・パルド大統領、マルセロ・ルイス・エブラル・カサウボン経済大臣を表敬訪問し、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直しに関する経団連の意見を説明するとともに懇談した。
帰国後の7月28日には、同委員会の倉石委員長と芝田浩二委員長が外務省を訪問し、茂木敏充外務大臣に、USMCA見直しに関する意見を説明するとともに、メキシコミッションの結果を報告した。
■ 訪問の背景
USMCAは、北米自由貿易協定(NAFTA)を引き継ぐ形で2020年に発効した。北米でサプライチェーンを構築する日本企業の事業活動を支える重要な制度的基盤だ。
協定発効から6年を迎えた26年7月に共同の見直し協議が行われたが、3カ国は協定延長で合意に至らなかった。このため、今後は年次見直しを行い、合意した時点から16年間協定を延長する仕組みとなる。延長で合意しない場合、USMCAは36年に失効する。
経団連は26年2月、「米国・メキシコ・カナダ協定の見直しに関する意見」(2月19日号既報)を公表した。現行の3カ国の枠組みを維持し、可能な限り早期に協定延長に合意することを求めるとともに、企業活動の予見可能性を確保する観点から、現行の内容の協定ルールを維持するよう提言した。
これらの考え方は、25年12月の訪カナダミッションでマニンダー・シドゥ国際貿易大臣に、26年2月の訪米ミッションでジェイミソン・グリア米国通商代表に説明している。今回はシェインバウム大統領をはじめとするメキシコ政府要人に直接伝えた。
■ 大統領・経済相を表敬
エブラル経済大臣(前列中央)
倉石委員長は、メキシコ政府要人に対し「日本企業はメキシコに中南米最多となる約1600拠点を展開し、約35万人の雇用を創出している。人材育成や技術移転、輸出拡大を通じて、メキシコの経済・社会の発展に貢献している」と説明した。
そのうえで、現行の3カ国の枠組みを維持し、42年までの協定延長に早期に合意するよう要望した。原産地規則が過度に厳格化された場合、域内調達が困難となり、北米のサプライチェーンの見直しを余儀なくされるとの懸念も伝えた。
これに対しシェインバウム大統領は「メキシコは他国と比べて有利な投資先であり続ける」とし、「自動車分野について、現行より有利な条件をできるだけ早く実現できるよう取り組んでいる」「企業の不確実性を取り除くため、早期の合意を目指したい」と応じた。
エブラル大臣は、現行のUSMCAの維持を基本としつつ、自動車分野に係る関税の引き下げを目指し、米国政府との交渉に取り組む考えを示した。
■ 茂木外相を訪問
茂木大臣(中央)、倉石委員長(左)、芝田委員長(右)
倉石委員長と芝田委員長は7月28日、茂木大臣にミッションの成果を報告するとともに、経団連のUSMCA見直しに関する意見書を手交した。
これに対し茂木大臣は「USMCAは日本企業によるメキシコへの投資を支える重要な制度的基盤であり、原産地規則の厳格化などは日本企業にとって大きな懸念事項である旨承知している。今回いただいた意見を踏まえ、現行の枠組みの維持に向け、引き続き関係国へ粘り強く働きかけていきたい」と述べた。
【国際協力本部】
