11月の米連邦議会中間選挙まで残り2カ月を切り、与党共和党は僅差で多数を占める下院に加え、上院の過半数も失いかねないとの見方が強まっている。
上下両院を握る政権与党としては、2025年以降の立法成果を訴え、さらに成果を積み上げるためにも、一致団結することが重要だ。しかし、上院共和党指導部とトランプ大統領の足並みは必ずしもそろっていない。
トランプ大統領と一部の共和党議員は、連邦選挙における有権者登録など、投票ルールを厳格化する法案の可決を強く後押ししている。
この法案は共和党の岩盤支持層や下院共和党の間では強い支持を得ている。ただ、上院でフィリバスター(注)を解除するために必要な賛成60票(議席数100)には、現状では遠く及ばない。
そこでトランプ大統領は、過半数の51票で法案を可決できるよう、フィリバスターの廃止を呼びかけている。しかし共和党上院議員の間では、自党が少数派に転じた場合の唯一の防御手段を失うことへの警戒感が根強い。
歴史的に、フィリバスターを支持してきたのは共和党であり、その廃止を試みてきたのは民主党だった。22年には上院民主党が自らの選挙制度改革法案を通すため、上院ルールの変更を図った。
フィリバスターは米国憲法に明記された制度ではなく、上院の運営規則に基づくものだ。そのため、単純過半数の51票で規則を変更することができる。
当時の民主党議員は50人で、カマラ・ハリス副大統領(当時)の決選投票があれば成立する見込みだった。しかし、民主党議員2人が造反し、否決された。フィリバスターを守ったこの2人は、現在は上院にいない。
共和党が伝統的にフィリバスターを擁護してきた背景には、「小さな政府」を重視する保守主義の考え方がある。不要な立法を拒むことも、立法成果を上げることと同じように重要だと見なしてきたのだ。
しかし、共和党内のイデオロギーは変化しつつある。トランプ大統領の岩盤支持層のなかには、民主党と同じように、自らの目的を実現するためには政府の力を最大限に活用すべきだと考える人々も少なくない。かつてのような守りの意識は、次第に薄れている。
この党内対立は、共和党支持者の間で続く政府の役割を巡る論争を映し出している。こうした対立は、28年の大統領選予備選にも影響が及ぶとみられる。
(注)議事妨害。上院で、少数派が討論を引き延ばして法案の採決を止める手法
【米国事務所】
