経団連と経団連自然保護協議会(西澤敬二会長)は8月28日、経団連の全会員企業を対象に「生物多様性に関わる基礎講座」をオンラインで共催した。
この講座は、生物多様性と企業活動との関係への理解を深めるとともに、2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)に向けた機運醸成を図ることを目的に、26年度中に全5回シリーズで実施している。
2回目となる今回は、環境省の深谷雪雄自然環境局自然環境計画課生物多様性ビジネス推進室室長補佐が「生物多様性・自然資本を巡る国際動向と政策の枠組み」について、国土交通省の須藤明彦都市局参事官(国際園芸博覧会担当)がGREEN×EXPO 2027について、それぞれ講演した。概要は次のとおり。
■ 環境省
深谷氏
昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)を中心に、生物多様性を巡る国際的な取り組みが進展しており、わが国でも「生物多様性国家戦略2023-2030」に基づく取り組みが進められている。
30by30(注)をはじめとする30年を期限とする国際目標の達成に向け、生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せるネイチャーポジティブ(NP)の実現が重要となっている。
NPとカーボンニュートラル(CN)は車の両輪であり、これまでコストと見なされてきた自然保護は、企業の存続を左右する「投資」や「必須条件」へと変わりつつある。
企業活動は自然に依存すると同時に自然に影響を与えていることから、自然への依存と影響を把握し、自然関連のリスクと機会を事業戦略に組み込んでいくことが重要だ。
自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)による情報開示の動きに加え、今後は国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)における自然関連情報開示の検討も進む見通しであり、企業経営と自然との関係は一層密接になることが見込まれる。
こうしたなか環境省では、自然共生サイトや保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM)に関する施策を推進するとともに、ファイナンスや調達に関するガイドラインの策定などを進めている。
NPに関する取り組みは、CNやサーキュラーエコノミー(CE)との間に相乗効果が期待される一方、取り組み方によってはトレードオフが生じる可能性もある。
今後は、これらの課題を個別に捉えるのではなく、相互の関係性を踏まえて統合的に取り組んでいくことが重要だ。
■ 国交省
須藤氏
27年3月19日~9月26日に横浜市で開催されるGREEN×EXPO 2027は、地球規模の課題の解決に向けた体験と実践を通じ、意識と行動の変容を促す場となる。
これまでの国際園芸博覧会が掲げてきた園芸産業の発展に加え、環境を巡る国際的な潮流を踏まえ、自然との共生といった日本らしい文化やライフスタイル、日本の強みであるグリーン技術を発信する「グリーン技術の産業見本市」としての取り組みなどにより、皆さまが「楽しめる万博」を目指している。
会場では、花や緑を起点として、自然と人との関係を体験し、実践できる場を提供するとともに、ネイチャーベースドソリューション(自然を活用した解決策)を中心に据え、CN、NP、CEの実現に向け、意識と行動の変容を促していく。
日本政府苑では、グリーンインフラを活用し、多様な自然環境を再現する。植物と生き物のつながりを体感できる展示、日本の園芸文化や自然との共生を紹介する展示なども展開する。
企業、市民、教育機関など多様な主体が参画する「共創」を通じ、自然との共生に向けた具体的な行動につなげていくことも目指している。
(注)30年までに陸域・海域の少なくとも30%を健全な生態系として保全することを目指す国際目標。22年に採択されたGBFに盛り込まれており、わが国では国立公園等の保護地域の拡充や「自然共生サイト」の認定などを通じて、その実現を目指している
【教育・自然保護本部】
