経団連(筒井義信会長)は10月13日、「『AZEC2.0』構想の具体化に向けた提言~AZEC域内のエネルギー・重要鉱物等に関わるサプライチェーンの強靭化と日本の役割」を公表した。
アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)(注)構想は、多様な道筋を通じて、アジアの脱炭素化、経済成長、エネルギー安全保障の同時実現を目指すものだ。
昨今の中東情勢の緊迫化は、アジアにおけるエネルギー供給構造の脆弱性を浮き彫りにした。重要鉱物等の獲得競争も世界的に激化している。
こうしたなか、エネルギー・資源の安定供給を確保するための基盤として、AZECを「2.0」の高みへ引き上げるべく提言を取りまとめた。概要は次のとおり。
■ エネルギー
日本の知見や生産・技術基盤などを生かし、AZECパートナー国のエネルギー需給構造の強靭化に協力することが重要だ。
多様な道筋に沿ってエネルギー源の多様化を図り、脱炭素化と強靭化を進めるべく、火力発電の低・脱炭素化、再生可能エネルギーや原子力の開発・普及、水素・アンモニア、バイオ燃料などの低・脱炭素燃料の実用化や普及を推進すべきだ。
蓄電池・送電網の開発・整備、政府主導による石油備蓄制度の整備・確立、省エネルギーの促進も求められる。エネルギーの強靭化にはコストを伴うため、安全性を前提に、安定供給、経済効率性、環境性のバランス(S+3E)に十分配慮すべきだ。
■ サプライチェーン
重要鉱物等の特定国への過度な依存を避けるため、AZEC域内に安定的な供給基盤を構築する必要がある。パートナー国と協調し、域内での共同採掘、加工、製錬を推進するとともに、代替品の研究開発や実用化を支援すべきだ。
同志国との連携を通じて2次資源を最大限に活用することも重要だ。日本は技術や設備などを活用してハブ機能を担い、廃家電、廃自動車、廃蓄電池などを回収・処理する域内資源循環ネットワークを構築すべきだ。
こうした観点から、AZEC域内でサーキュラーエコノミー(CE)も推進する必要がある。
■ ビジネス環境の整備
民間資金を呼び込むため、投資の予見可能性を高めるべきだ。パートナー国における明確で実行可能なロードマップの策定、トランジションファイナンスの推進、二国間クレジット制度(JCM)の承認・発行プロセスの簡素化に加え、日本政府の支援メニューの継続・充実が必要だ。
◇◇◇
日本政府には、パートナー国との政策協調を深めながら、企業が予見可能性を持って投資できる環境を整え、脱炭素化プロジェクトの実現を後押しすることを期待したい。
(注)オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムが参加
【環境エネルギー本部】
