ジョンストン氏
経団連は9月14日、東京・大手町の経団連会館で、米国のコンサルティング会社であるアジア・グループのクリストファー・ジョンストン パートナー兼防衛・安全保障プラクティス共同チェアとの懇談会を開催し、米中関係、日米関係などの説明を聴くとともに意見交換した。
同氏は米国家安全保障会議(NSC)の東アジア担当部長、戦略国際問題研究所(CSIS)の日本部長などを歴任し、インド太平洋の安全保障に精通している。説明の概要は次のとおり。
■ 米中安定は一時的
トランプ米大統領は9月下旬に、中国の習近平国家主席を国賓としてワシントンに迎える。華々しいセレモニーが催されるだろう。
11月に中国で行われるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議や、12月に米国で開催されるG20サミットでも、両首脳は面会する可能性がある。トランプ大統領は良好な米中関係を演出しようとするだろう。
しかし、首脳レベルでの友好関係が演出される一方、米中関係の安定は一時的なものに過ぎない。首脳より下のレベルでは、両国関係者の相互不信が深まっている。
最大の摩擦要因はAIと技術だ。米国では、AI競争で中国に先行すること、中国への技術移転を規制することを求める声がある。一方で、仮に米国が中国のAI開発や中国モデルの普及を封じ込めようとすれば、中国の強い反発が予想される。
台湾問題も火種になる。台湾支援には超党派の支持があるが、トランプ政権は対中交渉のカードとして、140億ドル規模の台湾向け武器売却を保留し続けている。習氏にとっては、この保留を続けさせることが重要な目標だ。
一方、11月の米中間選挙により、少なくとも下院では民主党が多数派を回復するとみられ、上下両院で多数党となる可能性もある。議会による政権への追及が強まり、台湾支援の不足がやり玉に挙がる可能性もある。南シナ海問題も同様で、共和党の議会支配が崩れることで米中の構造的な対立要因が顕在化しやすくなる。
トランプ大統領は電気自動車(EV)や蓄電池の製造を含む中国の対米投資に開放的な姿勢を示しているが、議会や安全保障関係者の間には慎重論が根強い。米中は投資委員会の設置で合意したが、目立った進展は考えにくい。
■ 日米関係の要は投資
日本は、自国が中国をどのように見ているかを米国に伝え続けるべきだ。特に中国による経済的圧力の実相を発信することは重要だ。首脳、閣僚、政府実務者の各層に築かれた強固な関係を維持していくべきだ。
当面は5500億ドルの対米投資が重要な意味を持つ。日本はこれまで、うまく案件を組成し、公表してきた。これはトランプ政権からの高い評価につながっている。
中間選挙後は事実上の大統領選挙が始まり、対米投資の進捗に対する注目度が一層高まるだろう。着実な進捗を見せ続けることが欠かせない。
日本の「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定と防衛費のさらなる増額の検討も、米政権には好感されている。ただし、米側の一部には、年末に防衛費の大幅な増額が発表されるとの期待がある。これが難しければ、新たな摩擦の種になるかもしれない。
【国際経済本部】
