中原氏
経団連は9月14日、東京・大手町の経団連会館で知的財産・国際標準戦略委員会(時田隆仁委員長、遠藤信博委員長)を開催した。内閣府の中原裕彦知的財産戦略推進事務局長から、6月に決定された「知的財産推進計画2026」について説明を聴いた。概要は次のとおり。
生成AIの急速な社会実装や地政学的リスクが高まるなか、知財戦略は経済成長と経済安全保障の双方を支える重要な基盤だ。技術流出を防ぐ「守り」に加え、日本の強みとなる技術や知財への投資を進め、世界の産業にとって日本が欠かせない「戦略的不可欠性」を確保する「攻め」の視点が求められる。
そのうえで、知財・無形資産投資、生成AI時代の知財保護、国際標準戦略などに関する内閣府の今後の取り組みを紹介する。
知財・無形資産投資については、日本成長戦略の17分野で、事業情報と特許などの知財情報を組み合わせて分析するIPランドスケープ(注)を活用する。わが国の強みや国際的な競争環境を俯瞰したうえで、限られた資源を重点配分していく。
研究開発に予算を投じるだけでなく、知財のサプライチェーンを捉え、チョークポイントやボトルネック、戦略的不可欠性を見極め、どの技術を伸ばし、どの知財を確保するかまで一体的に考える必要がある。
7月に改定されたコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)では、知財・無形資産投資が成長投資の重要な柱に位置付けられた。知財を取得・保護するだけでなく、製品・サービスの差別化や高付加価値化、収益力の向上にどうつなげるかを経営課題として捉え、経営陣の関与や投資家への情報開示を充実させることが重要だ。
生成AIと知財については、8月に公表した「生成AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード」で、使用モデルや学習データの種類・収集方法などの一定の透明性を確保する。営業秘密やセキュリティ、事業者負担にも配慮し、AIの開発・利用と知財保護が両立する環境を目指す。
国際標準戦略については、経団連と内閣府が事務局を務める「国際標準に係る官民ハイレベルフォーラム」が設置され、関係省庁、国立研究開発法人、業界団体などが官民で国際標準活動の重要性を発信する体制が整った。わが国全体の国際標準活動の方向性を示す体制も構築された。
今後は、研究開発、知財、標準、事業戦略をさらに一気通貫で進める必要がある。知財・標準マップによる知財分布と標準化動向の一体的な分析や、規制・ルールと標準・認証の一体的な活用も進める。単なる件数競争ではなく、ビジネスで勝つための標準・ルール形成を重視していく。
(注)成長戦略の推進に際し、政府が市場動向や技術・標準化のトレンドなどの事業情報に知財情報を組み込んで分析し、現状の俯瞰や将来展望などを含む分析結果を関係省庁と共有すること
【産業技術本部】
