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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年10月22日 No.3748 香港は「終わった」のか -中国戦略を映す「これから」の香港/日本・香港経済委員会

三浦大使

経団連は9月15日、東京・大手町の経団連会館で日本・香港経済委員会(橋本剛委員長)を開催した。在香港日本総領事館の三浦潤総領事(大使)から、香港情勢について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 「終わった」は過去

2019年の社会情勢の変化やコロナ禍を経て、「香港は終わった」との見方が広がった。しかし、現在の香港はそうした議論を超えて新たな局面を迎えている。

香港市民が深圳や広州に買い物や飲食に出かける「北上消費」が拡大し、香港の小売業や飲食業にはマイナスの影響が生じているものの、香港を訪れる旅客数の回復などにより統計上は底堅さが見られる。

足元では、貿易や金融業の好調を受け、香港政府は26年の経済成長率見通しを上方修正した。金融街のセントラルではオフィス需要が改善しているほか、シンガポールなどに移った金融人材が香港に戻る動きも見られる。

■ 「3+4」戦略

香港政府は、金融、物流、貿易という伝統的な強みに加え、教育、観光、文化・スポーツ、イノベーション・テクノロジーの4分野を新たな成長エンジンと位置付ける「3+4」戦略を推進している。

なかでも注目されるのが、イノベーション・テクノロジー分野だ。香港南部を金融拠点、北部をイノベーション拠点として発展させる構想が進められており、その中核となるのが「北部都会区」構想だ。深圳との境界地域を活用しながら、研究開発機能や先端産業の集積を目指している。

日本では金融都市のイメージが依然として強い香港だが、スタートアップや先端技術企業が集まるイノベーション拠点としての発展も志向している。

■ 中国を映す観測地点

香港には、中国政府が目指す方向性が見えやすいという側面がある。

近年、香港はASEAN、中東、中央アジアとの関係強化を加速させている。これらはいずれも中国が「一帯一路」構想のもとで関係強化を図っている地域と重なる。

中国政府は、広東省、香港、マカオを一体的に発展させるグレーターベイエリア(GBA)構想を重視しており、香港はその中核的な役割を担っている。

香港の経済政策にも変化が見られる。従来の自由放任的な経済運営から、中国の国家発展戦略と歩調を合わせた政策が打ち出されるようになっている。香港初の5カ年計画の策定は、その象徴の一つだ。

こうした変化からは、中国政府が香港を国家発展戦略のなかで重要な役割を担う地域と位置付けていることがうかがえる。

■ 日本企業への示唆

25年11月以降の日中関係の悪化は日本と香港の関係にも影響を及ぼしているが、民間企業のビジネス活動への影響は、現時点では限定的とみられる。

香港からは年間約250万人が日本を訪れており、大変親日的な地域だ。香港には日本企業約1550社が進出し、約2万3000人の邦人が在留するなど、日本にとって重要なパートナーだ。

近年は日本企業の経営層が香港を視察する機会も増えており、中国やアジアの動向を把握するための情報収集や、人的ネットワーク形成の場としてもあらためて注目されている。

香港は「まだ終わっていない」のではなく、「これからの香港」に目を向けるべき段階に入っている。香港の変化は、中国が描く将来像を映す鏡ともいえる。従来の香港観にとらわれることなく、実際に香港に足を運び、現地で起きている変化を継続的に見極めていくことが、日本企業にとって重要だ。

【国際協力本部】

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