筒井会長(中央)
経団連の筒井義信会長は、9月17日の青森県六ケ所村再処理工場視察(10月8日号既報)に続き、10月7日、日本原子力研究開発機構(JAEA)の幌延深地層研究センター(北海道幌延町)を視察した。
澤田純副会長、泉澤清次副会長、小宮暁副会長、秋池玲子副会長と共に、原子力発電環境整備機構(NUMO)の山口彰理事長らが同行した。現地では、JAEAの小口正範理事長が出迎えるとともに、意見交換には幌延町の野々村仁町長も参加した。
■ 視察の経緯
原子力を最大限活用していくうえで、核燃料サイクルや高レベル放射性廃棄物の最終処分といったバックエンド対策は、避けて通れない課題だ。
最終処分場の選定を巡っては、茨城県常陸大宮市長が本州で初めて文献調査の受け入れを表明し、10月15日から文献調査が開始されるなど、これまで全国5地域で文献調査の受け入れ・実施が具体化されており(注)、その取り組みは全国に広がりつつある。
こうしたなか、幌延深地層研究センターでは、北海道および幌延町との協定に基づき、わが国における最終処分の手法である地層処分技術の信頼性向上や安全評価技術の高度化に向けた研究開発を行っている。
2023年からは、8カ国・地域の12機関が参加する幌延国際共同プロジェクトも進められている。
■ 視察概要
幌延深地層研究センターの研究内容について説明を受けた後、一行は地下施設、ゆめ地創館、地層処分実規模試験施設を視察した。
地下施設では、地下350メートル、500メートルの調査坑道まで降り、地下深部の岩盤などの地質環境や研究現場を確認した。地下深部の地層による天然のバリアと、金属製の容器や緩衝材などによる人工のバリアを組み合わせ、高レベル放射性廃棄物を長期に安全に隔離するための研究についても理解を深めた。
■ 意見交換
現場視察に先立ち意見交換を行った。JAEAの小口氏は、原子力の持続的な利用に向け、高レベル放射性廃棄物の地層処分や有害度低減などの研究開発を重点的に進めていると説明。国際共同研究をはじめ、価値観を共有する各国との連携を深めていくことが重要と強調した。
筒井会長は「原子力はエネルギー政策におけるS+3Eの実現に欠かせない準国産エネルギーだ。最大限かつ長期的に活用していくためには、再稼働、新増設、リプレースが必要。最終処分をはじめとするバックエンド対策を着実に進めるべきだ」と指摘した。
◇◇◇
視察を終え筒井会長は「地層処分の安全性や信頼性を高めるための研究が、長年にわたり着実に積み重ねられている現場を直接確認できた」と述べ、幌延での取り組みを評価した。今回の視察で得た知見や研究の意義を広く発信し、国民理解の向上に努める考えを示した。
長期的な研究を支える人材や研究基盤の確保、JAEA内での研究開発における連携、民間との共同研究の推進、地域との対話などの重要性についても小口氏らと意見を交わした。
(注)北海道寿都町および神恵内村では文献調査報告書を取りまとめ済み。佐賀県玄海町、東京都小笠原村の南鳥島、茨城県常陸大宮市では文献調査を実施中
【環境エネルギー本部】
