モンタナ州は米国北西部に位置する光技術(フォトニクス)産業の集積地だ。連邦政府からテック企業の拠点の一つに選ばれ、ビジネスフレンドリーな制度、安価な輸送・エネルギーコスト、良質な若手労働力、良好な居住環境などを強みとしている。
経団連事務局は9月28~29日、日本貿易振興機構(ジェトロ)による同州の視察ミッションに参加し、産学官関係者と意見交換した。概要は次のとおり。
■ フォトニクスに強み
モンタナ州は、1970年代から積み重ねたフォトニクスの研究・製造実績を基に、フォトニクスと技術的に重なり合う部分が大きい量子産業の育成を目指している。
起業家出身のグレッグ・ジアンフォーテ知事は、2025年に訪日し、日本企業に投資を呼びかけた。29日のレセプションでジアンフォーテ氏は「今回の訪問を機に、日本とモンタナの経済関係がさらに強まることを期待する」と述べた。
13年設立のモンタナ・フォトニクス・量子アライアンス(MPQA)はモンタナでの取り組みを束ねている。ジェイソン・イェーガー事務局長からは「量子のほか、リモートセンシング、光学材料、宇宙などの多様な分野から80以上の企業・組織が参加し、州政府・議会や大学と緊密に連携しながら、地域に根差した密度の濃いコミュニティ型エコシステムを構築してきた」と説明があった。
日本との連携拡大にも意欲的で、25年11月には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が当地を訪問し、宇宙協力に関する対話を重ねている。
■ エコシステムを育成
研究開発の中心はモンタナ州立大学だ。25年には量子分野の産学官連携イニシアティブ「QCORE」が本格始動し、50人のスタッフが研究者や大学発の起業家を支援する。
ジェイン・モロー所長は「企業との戦略的パートナーシップを活用して急速に成長している」と強調した。
拠点となる「エンジンワークス」には、超伝導方式およびフォトニック方式の量子コンピューターが設置されており、日本企業も利用できる実証基盤を提供している。
ユニークな取り組みとして、施設内のコワーキングスペースには、研究者や起業家と共に芸術家も入居している。量子とアートの掛け合わせにより、敷居の高い量子技術へのアクセスの増加や社会的影響の拡大を狙っている。
事業成長支援プログラム「カタリスト・ラボ・インキュベーター」も新たに立ち上げ、大学発スピンアウトのさらなる増加とエコシステムの育成を目指している。
大学発の成功例として、光学クライオスタット(極低温装置)製造のモンタナインスツルメンツは、日本の量子研究機関にも100台超の装置を供給している。同社からは、クオンタムコアックスをはじめとする6社のスピンアウト企業も生み出した。
ホーソンフォトニクスは、非線形光学デバイス製造で量子産業の基盤を支える。各社とも日本企業との共同開発・協業に意欲を示している。
【米国事務所】
