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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2018年7月19日 No.3370 ロシアの最新情勢等について聞く -日本ロシア経済委員会

説明するザスラフスキー氏

ロシアでは、3月18日に実施された大統領選挙の結果、通算4期目となるウラジーミル・プーチン大統領のもとで新たな内閣が発足した。

そこで、経団連の日本ロシア経済委員会(朝田照男委員長)は7月3日、ロシアはじめ新興国・途上国の研究・分析に定評のある米コンサルティング会社・ホライズン社のアレクサンダー・ザスラフスキー研究部門長から、ロシアの最新情勢や今後の展望等について説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ プーチン大統領再選後の主な政治的変化

2000年以降一貫して大統領または首相の座にあるプーチン大統領も、65歳となった。最近は専ら、シリア内戦や米露関係など地政学的な課題への対応に追われ、日々の内政や経済運営への関心が相対的に薄れているようにみえる。とりわけ年金制度改革のように痛みを伴う不人気な政策については、意思決定の権限を経済閣僚等に委譲する傾向が顕著である。

さらに重要な変化は、権力の構図である。プーチン大統領はもはや、オリガルヒ(新興財閥)の友人やシロヴィキ(連邦保安庁等の治安・国防機関出身者)の側近たちの対立や抗争を仲裁しようとしなくなった。

こうしたなかにあって、ロシア最大の国営石油会社ロスネフチのイーゴリ・セーチンCEOが、プーチン大統領の最側近としての位置を引き続き占めるものと考えられる。世界最大の天然ガス会社ガスプロムのアレクセイ・ミレルCEOとの不仲は周知の事実であるが、露エネルギー業界の主導権争いと相まって、プーチン大統領の忠実な門番であるセーチン氏が一層影響力を強めていくのではないか。

■ 対露制裁の影響と今後の展望

ウクライナ問題を受けた欧米による対露制裁の影響は、相対的に軽微といえよう。ロシアの貿易額は14年から16年にかけて落ち込んだものの、17年には対米を含め、輸出入とも回復している。外貨準備高も15年の急落から持ち直し、顕著な回復傾向を示している。

トランプ米大統領は法律上、対露制裁を強化(注)してはいるが、ロシアに深刻な経済的ダメージを与えようという意図は毛頭ない。他方、欧州連合(EU)は6月末に対露制裁の半年延長を決定したばかりであるが、ロシアからのエネルギー輸入に大きく依存するイタリアの新政権において、マッテオ・サルビーニ内相兼副首相らがロシアとの関係改善を主張していることから、今後の動向が注目される。

■ 米露首脳会談の見通し

7月16日にフィンランド・ヘルシンキで開催される米露首脳会談が世界の耳目を集めている。米露関係の改善という観点から、会談自体は肯定的な意義を有するものの、先の米朝首脳会談(6月12日、シンガポール)同様、実質的な成果には乏しく、対露制裁に関して大きな変化をもたらすことはないと思われる。

その一方、ウクライナ問題やシリア内戦に関して、米露首脳がどのような協議を行うか、注視することが肝要である。

(注)17年8月2日、トランプ大統領は「敵対者に対する制裁措置法」案に署名、同法が成立した。同法では、現行の対露経済制裁を強化するとともに、イランおよび北朝鮮への制裁を拡大する内容を規定。また、対露制裁を緩和・解除するためには、大統領が議会に報告書を提出し、議会による審査が必要である旨も規定している

【国際経済本部】

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