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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年7月19日 No.3370 経済産業省とダイキン工業から国際的なルール形成の動向とその実例について聞く -ルール形成戦略の実践に向けた意見交換会

経団連は7月4日、東京・大手町の経団連会館で「ルール形成戦略の実践に向けた意見交換会」(堤和彦知的財産委員会企画部会長)を開催し、経済産業省の萩原崇弘基準認証政策課長、ダイキン工業の山中美紀CSR地球環境センター担当部長から講演を聞いた。概要は次のとおり。

■ 「国際標準化を活用したルール形成戦略のすすめ」萩原氏

Society 5.0時代には、さまざまなモノやサービスがインターネットを通じて国境を越えてつながったうえで付加価値が創出されるようになることから、つながるうえで不可欠な標準、特に国際標準の役割は一層重要になる。

欧州各国は1国1票のデジュール標準で優位に立ち、米国では産業分野で学会・産業団体を含めた民間のコンソーシアム標準を主導し、中国は一帯一路各国に中国標準を展開するなど、国際標準化をめぐる主導権争いが激化している。

こうしたなか、日本企業も、知財・標準化戦略(オープン・クローズ戦略)を構築し、さらに国際標準を活用したルール形成戦略を、経営戦略として展開する必要がある。国際標準を活用したルール形成には、日本企業のなかで閉じることなく海外企業も含め幅広い主体の理解を得て進める必要があり、官民挙げての取り組みが必須である。経産省としてもルール形成戦略に必要な情報収集から標準化、規制・調達への適応までできる限りの支援を行っていく。

■ 「持続可能な企業を目指して―ダイキンのルール形成への取り組み」山中氏

ダイキン工業では、「空調・冷凍機事業」の売上が約90%を占めている。2017年の売上高は2000年対比で4.3倍に伸び、海外売上は78%で、事業のグローバル化により成長を遂げてきた。この過程で、「環境社会をリードする」という企業理念のもと、社会的課題の解決による事業拡大のために、ルール形成への働きかけを行ってきた。

05年にEUで、空調の冷媒に使われているHFC(ハイドロフルオロカーボン)(注)の使用を全面的に禁止する法案が俎上に載せられた際、現地法人を通じて働きかけ、法案は廃案となった。これが、ルールは受け入れるものではなくつくるものという認識への転換点となった。現在は、当社が現時点でベストと考える冷媒「R32」の、世界への普及を目指し、国際標準改定に取り組んでいる。その際、社内のさまざまな部署や海外現地法人との連携が不可欠であり、経営トップによるルール形成へのコミットメントが明確に示されることが必要である。あわせて、インドなどの途上国向けには、制度構築への提言によるルール形成への働きかけだけでなく、技術者支援や関連する特許の無償開放等の、形成したルールの普及につながる働きかけも同時に行っている。こうした多面的な取り組みが市場拡大につながると考えており、今後も継続して取り組んでいきたい。

(注)HFC(ハイドロフルオロカーボン)=「代替フロン」と呼ばれる。オゾン層は破壊しないが、温室効果があり、地球温暖化の原因となるため、国際的に規制がなされている

【産業技術本部】

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