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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2018年11月1日 No.3383 少子化・人口減少と外国人材受け入れに向けた論点を聞く -明治大学の加藤教授から/人口問題委員会

経団連は10月11日、東京・大手町の経団連会館で人口問題委員会(岡本圀衞委員長、隅修三委員長)を開催し、明治大学政治経済学部の加藤久和教授の講演を聞き意見交換を行った。加藤教授の講演の概要は次のとおり。

人口問題は労働力だけでなく、経済成長や東京一極集中など、わが国の経済社会が直面するさまざまな課題に関連していることから、この問題を読み解かなければ日本の明日の姿を語ることができない。

日本の総人口は、ピークであった2008年12月からすでに10年経過した。今後も人口は減少を続け、2065年には8808万人になると推計されている。同時に高齢化も進み、同年には4人に1人が75歳以上となる見込みである。

高齢化の要因の1つは出生数の低下であり、少子化の背景は、「晩婚化」と「仕事と育児の両立ができる環境の未整備」である。これまでの研究から女性が活躍できる社会になるほど出生率が上がると考えられており、そのためにも社会として、女性が子どもを育てながら働き続けられる環境の整備が重要である。

近年の人口移動の動向をみると、地方の中核都市から首都圏への移動が続いている。首都圏に人が集まることにより、集積のメリットが生じるものの、混雑現象も起こる。今後は、首都圏の強さを残しつつ、地方の中核都市に人を集める工夫が必要となる。その際、首都圏と地方の中核都市の位置づけや、市街地の辺縁部からの撤退のあり方について考えなければならない。

労働力人口は、現行のトレンドが続く場合、2030年までに700万~800万人減少する見込みである。労働力とともに消費も減少することから、需給両面から厳しい経済状況となる。こうした労働力不足への対応として、これまでは女性と高齢者に焦点が当てられてきたが、足もとでは、外国人材やAI・ロボットも注目されている。こうしたなか、今年6月の「経済財政運営と改革の基本方針2018」では、新たな外国人材の受け入れ方針が示された。

外国人労働者による国内労働市場の影響を懸念する声もあるが、欧州を中心とした実証研究では、賃金低下や失業率悪化などの悪影響は小さいという結果が多い。他方、財政への影響は、社会保障関係費の負担増が見込まれる一方、就労による所得が発生することから税収増にも貢献することとなるため、どの程度の期間でみるかにより結果が異なる。

なお、世界に目を転じると、中長期的にはアジア各国でも人口減少が進み、人手不足になることから、日本としては、こうした外国人材の受け入れと同時に、省力化等につながるICT技術への投資も続けるべきである。

人口増減の影響は大きく2つある。1つは生産性への影響である。実際に生産性は、人口数や若年者数が多いほど高くなり、高齢化が進むことにより低下するといったデータもある。

加えて、先に述べた財政への影響も無視できない。高齢化に伴い社会保障関係費が増加するが、社会保障の制度体系はこれまでの働き方に依存した構造であり、現在のようにフリーランスなど多様な働き方が増加する場合にはそぐわなくなっている。こうしたなかにあっては持続可能な財政・社会保障制度を実現するために、年金については私的年金などを活用した自助をより重視すべきであるとともに、医療・介護については、軽症者の自己負担増加などの導入などの対応が必要である。

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講演終了後、提言「外国人材の受入れに向けた基本的な考え方」が審議・了承され、10月16日に公表された。

【経済政策本部】

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