1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2019年6月13日 No.3411
  5. 「労働法の未来」

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 週刊 経団連タイムス 2019年6月13日 No.3411 「労働法の未来」 -菅野東京大学名誉教授が講演/労働法規委員会

講演する菅野名誉教授

経団連は5月21日、都内で労働法規委員会(冨田哲郎委員長)を開催し、東京大学の菅野和夫名誉教授から、「労働法の未来」をテーマに講演を聞いた。概要は次のとおり。

■ 第4次産業革命と労働法

過去、技術革新が労働法の変化の直接の推進力となったのは労働法の生成期のみであり、これは各国共通である。第3次産業革命(通称「ME革命」)の時のように、第4次産業革命が日本の労働法に与える影響はほとんどないかもしれない。50年後、労働法はいまと全く違った姿となっていると思われるが、連続的な変化の積み重ねによるものであるに違いない。

■ 当面の課題=フリーランス就業者に対する保護の要否

フリーランス就業者の増加を背景に、労働者概念の拡大を検討する声が上がっている。しかし個人請負・委任による就労者の労働者性の判断基準は確立されており、立法による拡張は困難だ。むしろトラブルを防止・解決するため、契約の明確化と紛争の簡易的な相談・あっせんサービスこそ検討すべきであろう。また家内労働法における最低工賃の仕組みや、労働者災害補償保険法における一人親方・家内労働者の特別加入制度などを参考にした制度の要否の検討が望まれる。

■ 第4次産業革命に対応した労働時間法制の多様化・柔軟化

今後も従来の法制が適する、事業場での労働は残ると考えられる。一方、時間と場所にとらわれない働き方が増加し、私生活と労働はますます密着していくだろう。それに伴い、労働時間規制の多様化と柔軟化が求められる。企業における長時間労働文化を是正してから労働時間制度の基本的再編成を労使で議論すべきである。

■ 高齢者雇用政策と解雇の金銭解決制度

労働市場では高年齢者の健康増進と人手不足のなかで、高年齢者の就労が進む。年金財源の問題もこれを後押しする。当面は(1)65歳への定年延長と70歳までの再雇用を助成する政策(2)50歳代からの転職支援政策――とを組み合わせて考えていくのが最適ではなかろうか。

また、再び経済低迷の時代となれば、企業は雇用管理上の新たな柔軟性を求めるだろう。その段階で問題になるのが解雇規制の緩和であるが、労働契約法16条は緩和のしようがない。それゆえ解雇の金銭解決(使用者・労働者申し立て)制度が俎上に載ってくるであろう。

■ 労使の話し合い制度の再構築

第4次産業革命に対応した労働時間規制の編成には労使の話し合い制度の構築が不可欠だ。近年の労働法の変化の特徴として、経済社会の構造変化に伴い、国家主導の規制が拡大し、経営の自由・労使の自治が一貫して縮小してきている点が挙げられる。労使のコミュニケーションの促進は、職場のあらゆる課題を解決するうえで有益であり、労働者代表機関の制度化について検討が望まれる。

◇◇◇

その後、働き方改革の推進に向けた労働法規委員会の2019年度活動を審議し、原案のとおり承認された。

【労働法制本部】

「2019年6月13日 No.3411」一覧はこちら

「週刊 経団連タイムス」一覧はこちら