Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2019年10月31日 No.3429  「震災復興と東北の再生」 -東経連の海輪会長が幹事会で講演

講演する海輪東経連会長

経団連は10月15日、東京・大手町の経団連会館で開催した幹事会で、東北経済連合会(東経連)の海輪誠会長から、「震災復興と東北の再生」と題した講演を聞いた。講演の概要は次のとおり。

◇◇◇

先日の台風19号では東北地方にも大きな被害が生じた。迅速な復旧を進め、日常生活に戻るよう全力を尽くしてまいりたい。

経団連会員各社には「東北復興応援フェスタ」10月10日号既報)をはじめとするさまざまな支援をいただいており、また経団連としてもオリンピック・パラリンピック等経済界協議会を中心に風評被害の払拭に努めていただき感謝申し上げる。

復興に関する進捗として、生活面では、避難者数は着実に減少し、住宅再建もほぼ完了する一方、震災以前から問題視されていた人口減少が加速度的に進み、その結果まちづくりが遅れ、生産年齢人口の減少が続くという悪循環に陥っている。しかしインフラは6~7割の整備が進み、道路については2020年度中に全線開通の見込み。国土強靱化の観点からも、道路整備は災害時の「命の道」として極めて重要である。

産業面では、風評被害はいまだ根強く、今年7月時点で食品の輸入規制は22の国と地域が継続しており、水産加工業での倒産が昨今相次いでいる。しかし、社会課題をビジネスの力で解決しようという企業家が、東北で育ち始めていることは明るい兆しだ。

東経連では17年1月に新ビジョン「わきたつ東北」を策定し、20年度で終了する復興・創生期間後を見据え、30年を目標に「稼ぐ力を高める」ことや「若者の還流・定着」などを課題とした。

これらの解決のため産業構造の高度化に向け、次世代放射光施設の建設や国際リニアコライダーの誘致を進めている。また、東北の企業は知名度が低く、若者の域外流出対策が必要である。そこで就活生のみならず小学生から大学生まで、年齢階層別に地元企業との接点をつくる取り組みを進めている。

加えて、来年のオリンピック・パラリンピック東京2020大会に合わせ、官民が連携して来年7~8月に東京(JR・高輪ゲートウェイ駅前)に開設する「東北ハウス」は、復興への協力に対する感謝と、東北の自然や伝統、文化などの魅力を伝える、東北の情報発信の拠点だ。東北への誘客の流れをつくって今後の復興に弾みをつけたい。皆さまのご支援をお願いしたい。

【総務本部】