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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年12月22日 No.3572 タイの投資奨励措置と先端産業の誘致策 -日タイ貿易経済委員会

ナリット氏

カニット氏

経団連の日タイ貿易経済委員会(鈴木善久委員長、鈴木純委員長)は11月28日、来日したタイ投資委員会(BOI)のナリット・タードサティーラサック長官ならびに東部経済回廊(EEC)事務局のカニット・セーンスパン特別顧問から、タイの投資奨励措置と先端産業誘致策について説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ BOIは新たな投資奨励措置を実施

BOIは、投資政策の策定、投資案件の認可や恩典の付与を担う首相府直轄の投資誘致機関であり、11月初めに5カ年投資促進戦略(2023~27年)を発表した。新しい投資促進戦略には、(1)産業再編とサプライチェーンの強化(2)産業のスマート化・サステイナブル化(3)国際ビジネスハブ化(4)中小企業・スタートアップの強化(5)地域ごとの投資奨励(6)コミュニティー・社会の開発奨励(7)タイ企業の海外投資促進――の七つの柱があり、これらを九つの措置で牽引する。新しくタイに進出する企業だけでなく、すでにタイに進出している企業にもインセンティブを提供する。例えば、「継続・拡大プログラム」では、過去15年余りにわたりBOIの奨励企業として三つ以上のプロジェクトを有する企業がプロジェクトを拡大する場合、法人所得税の一定期間免除や減額の恩典を受けることができる。BOIは、これらの措置により、タイ経済を革新的、競争的、包括的な「新しい経済」へと再構築するための投資を促進していく。

■ 日本はEECへの最大の投資国~パートナーシップの一層の強化を

タイ政府は、労働集約型産業から知識集約型産業への移行により、産業の高度化・高付加価値化を実現する「タイランド4.0」を推進している。その中心的なプロジェクトが、バンコク東部のチョンブリー、ラヨーン、チャチェンサオの3県を特区に指定し、大規模なインフラ基盤整備と先端産業の誘致を目指すEECである。EECでは、投資促進のため、高速鉄道の建設や国際空港の拡張など、交通物流基盤の開発に取り組んでおり、日本企業も参画する2.6兆円規模のインフラプロジェクトが進行している。また、デジタル化により、90%以上のエリアが5Gに対応している。このなかで、次世代自動車、スマートエレクトロニクスなど12のターゲット産業を支援することとしている。さらに、七つの投資奨励ゾーンを設けて研究開発やエコシステム構築等を推進している。例えば、バイオテクノロジーや人工知能などの先端分野の「EECi」、ゲノム解析を行う「EECg」などが設定されており、EEC独自の恩典が付与される予定である。

EECへの最大の投資国である日本との間で11月に署名された「日タイ戦略的経済連携5カ年計画」には、EECに関する共同行動計画が含まれており、持続可能な未来に向けたパートナーシップの強化に期待している。

【国際協力本部】

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