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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年1月25日 No.3622 社会貢献活動の目指すべき姿 -企業行動・SDGs委員会経団連1%クラブ

渋澤氏

経団連1%(ワンパーセント)クラブ(福田里香座長)は12月18日、都内で会合を開催した。投資を通じてサステイナブルな社会に貢献する企業を支援している、シブサワ・アンド・カンパニーの渋澤健代表取締役から「社会貢献活動の今日的な意義」と題して説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ 「論語と算盤」における「と」の思想

渋沢栄一の代表的な名言に、「論語と算盤」がある。論語は道徳、算盤はビジネスを意味する。

ここでは、「道徳」と「ビジネス」のいずれかを選択する「か(or)」ではなく、道徳とビジネスの両方を追求する「と(and)」がキーワードである。諦めずに両立に向けて試行錯誤を繰り返すことにより、ある時、新しいクリエーションやイノベーションを果たせるようになる。老舗企業は、「と」によるイノベーションの力を生かしながら、事業を変化、深化させることでうまく存続できていると思う。

■ 信託報酬の1%を用いた社会起業家支援

2008年に私が立ち上げたコモンズ投信にも、経団連1%クラブの思想に似た取り組みとして、「コモンズSEEDCap」がある。これは信託報酬の1%相当を使って社会起業家を支援するもので、営利と非営利をつなぐものである。

また、社会起業家が集い、活動や思いを伝える「コモンズ社会起業家フォーラム」というイベントも開催している。

活動当初は、このような活動を行う投資主体はほとんどなかった。最近は同様の活動に取り組む投資ファンドが現れており、よい傾向だと思う。

■ 新しい資本主義における人的資本とインパクト

岸田文雄政権の「新しい資本主義」の主張のなかに特徴的なものがいくつかある。その一つが「人的資本の向上」である。財務的資本だけでは企業価値を測ることができない。人的資本を含めた、可視化が難しい価値の算定がカギになると思う。

新しい資本主義においてもう一つ興味深いのは、「インパクト」という考え方である。インパクト投資の父ともいわれるロナルド・コーエン氏は、インパクトを「ポストESG」と表現している。ESGは、企業に情報開示を求める投資家側が主体性を持っているのに対し、インパクトは、課題解決をあらかじめ意図している企業側が主体的に目標や達成度の可視化を試みる点で対照的である。また、ハーバード・ビジネス・スクールのジョージ・セラフィム教授はインパクトを企業会計に落とし込もうという野心的な取り組みを行っている。

企業価値を財務的数値以外で表現しようという、新しい動きが始まりつつある。

■ アフリカの人的資本向上への協力

23年1月、ケニア・ナイロビのベンチャーオフィスやスラム街にある学校を視察し、若者の学びによる人的資本向上の可能性を感じた。日本も150年前は途上国であったが、人的資本の向上により先進国に仲間入りした。日本がアフリカの人的資本向上に協力し、新しい未来を共に作ることが重要である。

◇◇◇

意見交換後、参加者は少人数のグループに分かれて、社会貢献活動の推進における課題として、「参加・協力する社員の広がり」「評価・レポーティング」「社会的課題解決に資するビジネスと社会貢献活動の関係」について討議を行った。

【SDGs本部】

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