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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年2月8日 No.3624 労務費の価格転嫁の交渉指針 -内閣官房および公正取引委員会と意見交換/経済法規委員会競争法部会

亀井氏(左)、渡部氏

経団連は1月16日、経済法規委員会競争法部会(大野顕司部会長)をオンラインで開催した。内閣官房新しい資本主義実現本部事務局の渡部宏樹参事官補佐および公正取引委員会経済取引局取引部の亀井明紀企業取引課長から、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」について、それぞれ説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ 労務費転嫁の状況

公取委は2023年5月と8月、価格転嫁に関する特別調査を行った。その結果、原材料価格やエネルギーコストに比べ、労務費の転嫁が進んでいないことが明らかになった。特にサービス産業では、コストに占める労務費の割合が高い傾向にある。この背景には、受注者が価格転嫁を要請していないことや、労務費の上昇分は受注者の生産性や効率性の向上を図ることで吸収すべきだとする発注者側の意識がある。

特別調査で事業者から寄せられた指摘事項には、(1)発注者側で予算が決まっており、価格転嫁を認めないことが業績として評価されること(2)受注者側が値上げをする場合にコスト構造を明らかにする社内の資料を求められること(3)労務費転嫁の協議により受注者が契約の打ち切りなど不利益を受ける恐れがあること――などがある。

■ 指針の内容

内閣官房と公取委は23年11月29日、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を公表した。同指針の目的は、持続的な賃上げを実現するため、その原資を確保できる取引環境を整備することである。受注者と発注者の双方の立場から、12の行動指針が策定されている。

発注者側が採るべき行動として、(1)経営トップが関与して社内外に方針を示すこと(例=パートナーシップ構築宣言の公表)(2)長年価格が据え置かれてきた取引等であっても、発注者側からも定期的な協議を実施すること(3)最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額や上昇率など公表資料に基づく受注者からの価格の提示を尊重すること(4)サプライチェーン全体で適切な価格転嫁による適正な価格を設定すること(5)取引価格の引き上げの要請があれば協議のテーブルにつくこと(6)必要に応じて労務費上昇分の価格転嫁に係る考え方を提案すること――が求められる。

一方、受注者側が採るべき行動として、(7)政府等の相談窓口を活用すること(8)根拠資料に公表資料を活用すること(9)定期的に行われる発注者との価格交渉のタイミングを活用すること(10)受注者側からも希望する価格を発注者に提示すること――が挙げられる。

さらに、発注者と受注者の双方に求められる行動として、(11)定期的にコミュニケーションをとること(12)価格交渉の記録の作成と双方での保管――が示されている。

行動指針に沿わない行為により、公正な競争を阻害する恐れがある場合には、公取委として独占禁止法および下請代金支払遅延等防止法に基づき厳正に対処していく。内閣官房は同指針の周知活動を行う。発注者と受注者の双方に活用してもらいたい。

◇◇◇

説明後、下請けや孫請けへの価格転嫁に関して求められる情報の範囲や、労務費の転嫁に関する社会全体の機運醸成の必要性などについて意見交換を行った。

【経済基盤本部】

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