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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年2月22日 No.3626 企業行動憲章シンポジウムを開催 -マルチステークホルダーとの価値共創

筒井副会長

郡司部会長

経団連は、企業行動憲章の会員企業・団体への理解浸透を目的に「企業行動憲章シンポジウム」を毎年度開催している。7回目となる2023年度は1月22日、東京・大手町の経団連会館で、「マルチステークホルダーとの価値共創」をテーマに対面とオンライン配信のハイブリッド形式で開催した。概要は次のとおり。

■ 開会・報告

冒頭、筒井義信副会長は、企業行動憲章をめぐる最近の経団連の活動を説明した。あわせて、日本生命保険におけるマルチステークホルダーとの価値共創に向けた取り組みを紹介。「国民生活の安定と向上に寄与する」という経営基本理念のもと、事業活動、ステークホルダーへの価値提供、財務・非財務の資本充実の循環を形成していると説明。また、人口動態の変化、経済格差の拡大、気候変動問題といった社会課題を踏まえて、「人」「地域社会」「地球環境」の三つの領域に重点を置き、ステークホルダーへの価値提供に取り組んでいると述べた。

続いて郡司典子企業行動・SDGs委員会企画部会長が登壇し、23年度に実施した「第3回企業行動憲章に関するアンケート結果」を報告した。その際、企業の具体的な「SDGsに貢献する取り組み」「国内外のサプライチェーン上における人権デュー・ディリジェンス(DD)に関する取り組み」についても紹介。これらを参考に、サステイナブルな資本主義の確立に企業行動憲章の実践を通じて取り組むことが重要と強調した。

■ 講演「『価値づくり』のレンズ~ポストデジタル×ポストパンデミックの経営論理」(藤川佳則一橋大学大学院経営管理研究科教授)

「ポストデジタル×ポストパンデミック」時代において、新しい顧客体験(Customer Experience、CX)を生み出すためには、企業の組織構造や評価体系を変革する企業改革(Enterprise Transformation、EX)が必要になる。CXとEXの実行を通じ、産業や地域の社会変革(Social Transformation、SX)を目指すことがデジタルトランスフォーメーション(DX)の本質である。

かつて企業は、「モノとサービスを分け、企業は顧客に価値を一方向に創出・提供する」と考えるレンズをかけていた。しかし最近は成長企業ほど、「モノとサービスを分けず、全てをサービスととらえ、企業はマルチステークホルダーと共に価値を創造する」と考えるレンズにかけ替えている。CXをとらえるレンズをかけ替えることにより、企業は事業の選択肢の幅を広げることができる。

■ パネルディスカッション

パネルディスカッション

第一三共の中山讓治常勤顧問、ヤマトホールディングスの山内雅喜参与、トヨタ自動車の大塚友美シニアフェロー/チーフ・サステナビリティ・オフィサーが登壇し、「マルチステークホルダーとの価値共創」に向けた自社の取り組みについてそれぞれ紹介した。登壇者の発言要旨は次のとおり。

(中山氏)

当社はパーパスに「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」を掲げ、「革新的な医薬品を継続的に創出し、多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」をミッションとする。

新薬開発に関わる主なステークホルダーは、アカデミア、ベンチャーキャピタル、医療機関、規制当局である。バイオベンチャーや同業他社は競合相手であるとともに、病に苦しむ「患者さん」を救うための潜在的な価値共創のパートナーでもある。

世界中のステークホルダーと価値を共創するためには、多様な人材が必要である。そこで、グローバル共通の人事制度を導入するとともに、多様な人材がグローバルな視野を持って協働し、社会に貢献するための企業文化「One DS Culture」の醸成に努めている。

(山内氏)

社会インフラとして社会課題を解決しながら、「サステナブルな世界を実現」することが当社のパーパスである。全ての人・エリアとつながるリアルのネットワークを生かし、エネルギー・気候変動問題、物流インフラの維持、地域生活の維持に取り組む。

売上利益重視の時代から、非財務価値重視の時代に変わるなか、グループ全体でDX等を推進するための経営構造改革が必要との観点から、「Oneヤマト」体制下で各部署と連携し、サステナブル経営を推進している。

価値共創には、自社の経営資源と貢献できる領域を認識し、また、自らの志を明確にしたうえで、同じ志を持つパートナーと取り組むことが重要である。

(大塚氏)

社会課題の解決に向けて、自動車を作る会社からモビリティカンパニーへのモデルチェンジを進めている。ミッション「幸せの量産」の実現のカギは、マルチステークホルダーとの価値共創である。多様なメンバーを巻き込み、共に未来を作ることが必要である。

カーボンニュートラル(CN)実現に向けて、レースの現場で、企業や業界を超えた仲間と共に技術開発に取り組むことに加え、子どもにも楽しく学んでもらえる「カーボンニュートラル科学館」を展開している。

マルチステークホルダーとの価値共創に取り組むうえでは、意志と情熱を持った現場での行動が重要である。行動が共感を呼び、仲間が広がることで、大きなインパクトにつながる。

【SDGs本部】

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