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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年4月17日 No.3680 公取委幹部と意見交換 -経済法規委員会

経団連は3月18日、東京・大手町の経団連会館で経済法規委員会(亀澤宏規委員長、奥田健太郎委員長)を開催した。公正取引委員会の古谷一之委員長、藤本哲也事務総長、岩成博夫経済取引局長、佐久間正哉官房審議官、向井康二官房審議官から、公取委の最近の取り組みについて説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

左から佐久間氏、藤本氏、古谷氏、岩成氏、向井氏

■ スマホソフトウェア競争促進法

スマートフォンの特定ソフトウェア(モバイルOS、アプリストア、ブラウザ、検索エンジン)市場においては、少数の有力な事業者による寡占が生じている。このため、新規参入等による公正かつ自由な競争の実現が難しい。また、独占禁止法による個別事案への対応には時間を要する。

こうした状況を受け、スマホソフトウェア競争促進法が2024年6月に成立した。同法では、公取委が指定した事業者に対して、アプリストア内における競争制限行為をはじめ、一定の行為を禁止することなどを定めている。従来の独禁法の執行とは異なり、事業者などのステークホルダーと継続的に対話しながら、ビジネスモデルの改善を求める新たな規制の枠組みを採用した。

公取委は25年内の全面施行に向けて、政令の策定や周知・広報活動に取り組んでいる。

■ 生成AIに関する実態調査

生成AIはイノベーションを生み出すポテンシャルがある一方で、競争政策上の潜在的リスクが指摘されている。

そこで公取委は24年10月から、市場の実態調査を開始した。その一環として、同月に競争政策上の論点を整理したディスカッションペーパーを公表し、事業者等から幅広く意見を募ったところ、数百件の意見が寄せられた。

これらを踏まえ、25年春をめどに成果物を公表する予定である。

■ 取引適正化に向けた取り組み

24年7~12月、公取委は中小企業庁と共催で「企業取引研究会」を開催し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)のあり方などについて議論した。その検討結果に基づき、下請法改正案が25年の通常国会に提出された。改正案には、協議を適切に行わない代金額の決定の禁止や、規制対象の拡大(運送委託への適用、従業員数基準の追加)などが盛り込まれている。

また、22年度から毎年度、価格転嫁円滑化の取り組みに関する調査を実施している。問題につながる恐れのある行為が認められた事業者に対しては、注意喚起文書を送付している。

調査結果を踏まえ、23年11月には内閣官房と連名で労務費転嫁交渉指針(注1)を策定した。しかし、24年5月の調査時点では、全体の約51%が本指針を知らなかったと回答した。関係省庁が一体となって、その周知徹底を図っている。

さらに公取委は、関係団体と協力し、企業に対して自発的申出制度(注2)の利用も呼びかけている。

◇◇◇

説明後の意見交換では、委員から「時代に即した法制度や機動的な法執行の実現に向けて、公取委はどのようなことを意識しているのか」という質問があった。

これに対して公取委は、「特にデジタル分野は動きが速いため、諸外国の競争当局の動きも見ながら、さまざまな事業者にヒアリングを行い、地道に取り組んでいく」と回答した。

(注1)「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」公表に関するお知らせ

(注2)事業者が公取委に対し、下請法違反行為を自発的に申し出た場合、一定の事由が認められれば、勧告を行わないとする制度

【経済基盤本部】

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