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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年8月7日 No.3694 関西会員懇談会を開催 -「『成長と分配の好循環』を実現し公正・公平で持続可能な経済社会を構築する」をテーマに

あいさつする筒井会長

経団連は7月10日、大阪市内で関西会員懇談会を開催した。筒井義信会長、冨田哲郎審議員会議長、各副会長、関西地区の会員ら約450人が参加。「『成長と分配の好循環』を実現し公正・公平で持続可能な経済社会を構築する」を基本テーマに意見交換した。

懇談会の開催に先立ち、関西経済連合会(関経連)首脳と、①貿易・投資立国に向けて②科学技術立国に向けて③地方分権改革・広域行政の推進④2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の状況――をテーマに意見交換した。

懇談会の開会に当たり筒井会長は、「日本経済は、賃金引き上げのモメンタムが3年連続で継続し、『構造的な賃金引き上げ』の定着が見えてきた」と言及。

一方で先行きは、米国の打ち出す関税政策や中東情勢の緊迫化等を受けて不透明感が高まっているとしたうえで、「この混迷の時代にあって、足元のリスクに迅速に対応しつつ、中長期の視点を持って『成長と分配の好循環』を着実に実現していくことが日本経済にとって不可欠」と指摘した。

開催中の大阪・関西万博に関して、累計来場者数が1000万人を突破するなど、大きな盛り上がりを見せていることに触れ、成功裏に閉幕を迎えられるよう引き続き協力していくと述べた。

続いて、5月29日の経団連定時総会で選任された小川啓之副会長、時田隆仁副会長、佐藤恒治副会長が抱負を述べた。

■ 関西経済の活性化に向けて

「関西経済の活性化に向けて」をテーマとする懇談では、大同生命保険の工藤稔顧問から、中小企業を起点とした関西経済の発展について、竹中工務店の難波正人会長から、ポスト万博を見据えた関西経済の未来図について、それぞれ発言があった。

これに対して経団連から

  1. (1)万博を機に関西をはじめ広域でのインフラ整備の進展に期待するとともに、データ駆動型スマートシティの実現など、スーパーシティ型国家戦略特区として、今後の夢洲やうめきたの街づくりに期待する(永野毅副会長)
  2. (2)わが国中小企業のノウハウを含む経験・知のバリューチェーンの価値に目を向けることが、「FUTURE DESIGN 2040」(FD2040)で経団連が掲げた「科学技術立国」実現のカギとなる(小堀秀毅副会長)
  3. (3)中小企業にとってSDGsの取り組みはハードルが高いという声もあるが、自社の事業や専門性がSDGsのどの目標達成に貢献できるのかを検討し、具体的な目標を設定して取り組むことが重要である(亀澤宏規副会長)

――との発言があった。

■ 産業競争力強化に向けて

「産業競争力強化に向けて」をテーマとする懇談では、アシックスの廣田康人会長から、グローバル市場での競争力強化について、大阪シーリング印刷の松口正社長から、サプライチェーンの強化と産業競争力強化に向けた倫理的価値向上(環境対応等)の必要性について、それぞれ発言があった。

これに対して経団連から

  1. (1)競争力強化やサプライチェーンの強化のためには、信頼できるデータ連携・利活用の環境整備が重要であり、多様なデータを安全かつ円滑に連携する「産業データスペース」の構築が求められる(遠藤信博副会長)
  2. (2)エネルギーは産業の基盤であり、カーボンニュートラル(CN)に向けて、原子力発電所の再稼働をはじめ、現実に即したトランジションの道筋を含めた実現可能な取り組みが求められる(泉澤清次副会長)
  3. (3)サーキュラーエコノミー(CE)への移行を成長戦略として展開するためには、エシカル消費に代表されるように、消費者が製品の環境価値を認め、購入するよう促していく取り組みが必要である(野田由美子副会長)
  4. (4)競争力の強化に向けて、中小企業が「構造的な賃金引き上げ」を実現するためには、適正な価格転嫁が不可欠であり、経団連は政府とともに、「パートナーシップ構築宣言」等の発信を続けていく(長澤仁志副会長)

――との発言があった。

住友電気工業の松本正義会長(関経連会長)は、大阪・関西万博の成功に向けて、機運醸成の手を緩めずに取り組んでいきたいとの決意を示すとともに、マルチステークホルダー主義のもとでの中長期的な成長戦略の実現やコーポレートガバナンスの取り組みの重要性について述べた。

閉会に当たり冨田審議員会議長は、大阪・関西万博の盛り上がりを一過性のものとせず、関西経済・日本経済全体の活性化を図っていくことが重要と述べた。また公正・公平で持続可能な経済社会の実現に向けて、経営者が使命感と責任感を持って、経済界として何ができるかを考えていくべきであると締めくくった。

【関西事務所・総務本部】

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