
赤堀氏
6月15~17日にカナダのカナナスキスで開催されたG7サミットに先立ち、経団連は5月14~16日にオタワで開催されたG7ビジネス・サミット(B7サミット)に参加するとともに、共同提言の策定に積極的に関わった。
こうした経緯を踏まえ、経団連は7月14日、都内で外交委員会(片野坂真哉委員長、大林剛郎委員長)を開催した。G7カナナスキス・サミットで石破茂内閣総理大臣のシェルパ(補佐役)を務めた外務省の赤堀毅外務審議官から、同サミットの模様について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 今次サミットの意義
自由、民主主義等の価値を共有するG7は1975年に発足してから50周年を迎えた。今次サミットでは、米国のトランプ大統領は途中帰国したものの、G7が協調・結束して、国際社会の平和と繁栄のために行動する重要性を確認することができた。50年経ってもG7の価値が不変であることに認識の一致があった。
世界経済、経済安全保障、国際情勢について首脳間で率直な議論を交わし、イスラエルおよびイランの情勢に関する首脳声明、さらに六つの分野(山火事、重要鉱物、AI、量子、国境を越えた抑圧、移民)で個別の首脳声明が発出されたことは大きな成果であった。
各セッションで石破首相は次のとおり発言し、日本の立場と取り組みを発信した。
■ セッション「世界経済の見通し」
G7として緊密な意思疎通を行い、不確実性を下げ、安定的な成長を実現していくことが必要である。
非市場的政策・慣行により、アジアを含む途上国の産業・雇用に悪影響が生じている。今こそG7が結束してルールに基づく自由で公正な経済秩序を築くべく、国際社会をリードすることが必要である。
世界貿易機関(WTO)は世界経済の成長に不可欠な基盤を提供しており、WTOを中核とする多角的自由貿易体制の維持・強化は不可欠である。各国に受け入れられる形でWTOの改革を実現する必要がある。
■ セッション「経済成長、経済安全保障・経済強靭性」
重要鉱物のサプライチェーンの強靭化・多角化は喫緊の課題であり、G7やパートナー国と緊密に連携して対応する必要がある。
サプライチェーン多角化のための新規鉱物資源プロジェクトの立ち上げや、途上国の現地高付加価値化に向けた「RISE(強靭で包摂的なサプライチェーンの強化)に向けたパートナーシップ」等における協力が重要である。
■ セッション「コミュニティを安全にする」
山火事の早期の発見・消火に努めており、各国とも連携・協力していきたい。
移民の密入国に関与する国際組織犯罪の撲滅に向けて、今後もG7でも連携していきたい。
■ セッション「世界を安全にする」
ウクライナ情勢については、早期の全面停戦、公正かつ永続的な平和の実現はG7共通の目標であり、ロシアに前向きかつ具体的な行動を迅速に取らせるためにはG7の結束が重要である。
ウクライナの和平のあり方は、インド太平洋を含む国際秩序全体に影響を及ぼし得るものであり、再侵略を抑止する和平の枠組みの構築が重要である。
G7として、インド太平洋情勢により一層関与していくことが重要である。
■ セッション「強く、主権を有するウクライナ」
2025年10月22日に東京で閣僚級の地雷対策会議を開催する。ウクライナの産業振興を含む官民一体の復旧・復興支援を一層推進していく。
■ セッション「エネルギー安全保障」
わが国は、エネルギー安全保障に寄与する再生可能エネルギーや原子力等のエネルギー供給源の活用に強力に取り組むとともに、新たな技術の活用に世界に先駆けて取り組む。
【国際経済本部】