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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年10月23日 No.3702 香港との連携拡大の可能性を共有 -第43回日本・香港経済合同委員会を開催/日本・香港経済委員会

経団連の日本・香港経済委員会(池田潤一郎委員長)は9月24日、東京・大手町の経団連会館で、第43回日本・香港経済合同委員会を開催した。日本側からは、池田委員長をはじめ37人、香港側からは、デイビッド・チュウ香港・日本経済委員長をはじめ17人が参加した。概要は次のとおり。

開会あいさつで池田委員長は、香港がASEAN諸国へのゲートウエーとして優位性を有することに触れ、国際的な金融・物流ハブのみならず、近年は芸術、テクノロジー、イノベーションのハブとしても存在感を高めていると述べた。

香港は引き続き日本企業にとって重要なパートナーであることについて強調するとともに、香港、マカオ、広東省9都市から成る巨大経済圏「グレーターベイエリア」(GBA)構想のさらなる進展に期待を寄せた。

チュウ氏は、約100社の日本企業が香港をアジアの戦略拠点とし、電子機器、金融、情報通信など幅広い分野で事業展開していると述べ、長年にわたり強固な貿易・投資関係を構築してきた日本と香港の経済面での結び付きを確認した。

■ 第1セッション~日本、香港、中国本土の経済情勢

日本経済については、好調を続ける株式市場とともに賃金やボーナスが上昇傾向にあるなか、安定的な物価上昇の維持とAIやイノベーションによる成長の実現が課題であると指摘された。

中国本土については、旺盛な外需や政策支援等を背景に5%台の成長を維持しており、輸出先の多様化とハイテク産業の強化により、不確実性の高い環境でも貿易の強靭性が高まっているとの分析が示された。

香港経済については、民間消費の回復や輸出拡大、中国経済の底堅さを追い風に堅調であること、GBAは面積こそ小さいが香港経済の中核を担う巨大市場として大きな潜在力を有することが強調された。

■ 第2セッション~日本、香港、中国本土の企業間協力の展望

大きく二つのテーマに分けて議論した。

第一に、イノベーション&テクノロジー(I&T)の促進とエコシステムの構築について、日本側は、価格の安定性や低コストの送金を強みに持つ暗号資産であるステーブルコインを取り上げ、越境利用の拡大を通じた日本と香港の連携に期待を表明した。

イノベーションの促進にはデータの自由な流通が不可欠としたうえで、日本政府が提唱する、信頼性のある自由なデータ流通(Data Free Flow with Trust, DFFT)に参加する国・地域の拡大を求めた。

香港側は、豊富な資金供給力とエコシステムを背景に香港スタートアップ業界が活況であると説明した。

AI関連投資が世界的に拡大していることを踏まえ、AI・データ産業に特化し、データや人材の自由な流通が認められている「香港・深圳イノベーション&テクノロジーパーク」(HSITP)に言及したほか、創薬分野でのAI活用事例を紹介した。

第二に、サプライチェーンを巡る課題について、日本側は、日本と香港が経済安全保障および食料・医薬品の供給確保のため、物流プラットフォームの構築やカーボンニュートラル(CN)の共同推進による連携強化を提起した。

香港側は、サプライチェーンの多角化に対応するため、デジタル化や物流強化、地域連携を推進していると指摘した。

英米法に基づく制度を強みに、国際的な地域司令塔の地位を維持している点も強調した。香港が中国にとって不可欠な都市であることを踏まえ、中国の経済成長の恩恵を享受するためにも、香港政府の協力のもとで日本とのビジネス連携を一層深化させることに期待を示した。

【国際協力本部】

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