モハメッド氏(左)と西澤副議長
経団連は10月6~10日、西澤敬二審議員会副議長/企業行動・SDGs委員長/企業市民協議会(CBCC)会長を団長とし、18社30人から成るSDGsミッションを、2023年以来2年ぶりに米国ニューヨークおよびワシントンDCに派遣した。
24年9月の国連未来サミットでは、30年のSDGs達成に向けた取り組みを加速する必要性が改めて示されるとともに、30年以降についての議論を27年から開始することが正式に決定された。今後、ポストSDGsに関する議論も各所で深まっていく見込みである。
一方、グローバルにはサステナビリティへの取り組みの後退が懸念されている。
今回のミッションでは、各訪問先で、経団連および日本企業のSDGs達成に向けた取り組みを紹介するとともに、SDGsに関する最新状況や今後の課題、連携のあり方について、国連幹部や国際機関と対話を深めた。
米国のサステナビリティの動向や企業に求められる取り組み等についても、経済団体やシンクタンク、イノベーションをリードするテック企業等と意見交換した。概要は次のとおり。
■ SDGsの進捗と30年以降に向けた動向
国連の「SDGs報告2025」によれば、SDGsのターゲットのうち「順調」に進んでいるのは18%のみであり、35%は「停滞、または後退」と、その達成が危ぶまれている。
アミーナ・J・モハメッド国連副事務総長は、経団連のSDGs達成に向けた取り組みを高く評価するとともに、グローバルなSDGs達成のためには投資を加速する必要があると改めて指摘した。
地政学的に政府間の緊張が高まるなか、民間セクターにはアフリカや南米諸国等とパートナーシップを築き、持続可能な開発を実現するチャンスがあるとの見解を示した。
30年以降のポストSDGsの枠組みについて、国連グローバル・コンパクト(UNGC)の幹部は、現在の17の目標・169のターゲットを簡素化することが不可欠であると述べた。
■ 米国のサステナビリティへの取り組み
米国国際ビジネス協議会(USCIB)やブルッキングス研究所からは、サステナビリティに関する政治・社会環境の変化により、一部企業の間で、「グリーンハッシング」(注)や「グリーン」から「レジリエンス」等への表現変更の動きはあるが、企業の取り組みの本質は変わっていないとの説明があった。
米国企業からは、ネットゼロ計画、再生可能エネルギー電力の購入契約や原子力への投資、自主的かつ透明性のある情報開示等の取り組みが紹介された。
■ 主な懇談先
1.国際機関
▽モハメッド国連副事務総長▽国連開発計画(UNDP)▽UNGC▽世界銀行
2.日本政府
▽山﨑和之国連大使▽岡崎泰之駐米日本大使館公使
3.民間組織
▽USCIB▽B Lab
4.企業
▽Morningstar Sustainalytics▽Citi▽Amazon Web Services▽Microsoft
5.シンクタンク、アカデミア
▽ブルッキングス研究所▽ジョアン・バウアー コロンビア大学国際公共政策大学院教授
(注)環境問題への取り組みを、批判や精査を恐れて公表を控えること
【ソーシャル・コミュニケーション本部】
