レイン副大臣(右)と野田副会長
経団連の環境委員会(小堀秀毅委員長、野田由美子委員長、宮田知秀委員長)は9月25日、オランダの社会基盤・水管理省幹部をはじめとする代表団の来日の機会を捉え、東京・大手町の経団連会館で、サーキュラーエコノミー(CE)、とりわけ建設分野におけるCEに焦点を当てたセミナーを開催した。
2023年11月、野田副会長・同委員長を団長としたCEに関するミッションをオランダに派遣した際、ビビアネ・ハイネン環境大臣(当時)と会談し、CEに関する日蘭両国の知見を共有していくことを確認した(24年1月1日号既報)。以降、同委員会はオランダと交流を深めてきた。
オランダは「2050年までに完全なCEの実現」という目標を掲げ、重点取り組み分野の一つに建設分野を位置付けている。
セミナーの概要は次のとおり。
■ 野田副会長
経団連とオランダ政府との交流は、23年のミッション以来6度目となる。開拓的なイニシアティブ、マダスター社のマテリアル・パスポート(注)、革新的なサーキュラーデザインなど非常に深遠な洞察を得てきた。
日蘭両国は、資源依存や気候変動といった同様の課題に直面している。これらを克服するために、日本が培った経験とオランダのCE政策を学び合い、CE分野でより強力なパートナーシップを構築したい。
■ アフケ・ファン・レイン オランダ社会基盤・水管理省副大臣
日蘭両国は、建設分野における資材とエネルギー使用削減という課題に直面している。これはNDC(国が決定する貢献)の達成のためだけではなく、サプライチェーンにおける重要資材の確保に必要である。
グローバル・サプライチェーンは、パンデミックや国際紛争といった外的ショックには非常に脆弱であることが明らかになった。資材の使用を減らすためには、より効率的な設計、持続可能な資材の利用、サプライチェーンへの依存を減らしていくこと――が求められる。
オランダでは、政府関係者、産業団体、研究機関、業界関係者が協力してサーキュラー建設に関するロードマップを作成するなどガバナンス体制を構築している。バリューチェーン全体にわたる協力体制がイノベーションを加速させ、循環型ソリューションの大規模導入への道を開くことを可能にする。
■ 循環型建設に関するプレゼンテーション
日本からは、マダスター社の資源循環プラットフォームを導入している大成建設が、サーキュラー建設に関する日本の動向と課題について発表した。
オランダからは、TKI Bouw & Techniek(サーキュラー建設のイノベーションを推進するNGO)が同国のサーキュラー建設に関する50年までのビジョンや取り組みについて、オランダ応用科学研究機構(TNO)とウィレム1世国王カレッジ(Koning Willem I College)が研究機関・大学と産業界の連携事例を発表した。
■ 日蘭企業によるピッチ
日本からは、鹿島建設、清水建設、大成建設の3社が、それぞれのサーキュラー建設に関する取り組み事例を発表した。
オランダからは、Zavhy BV、Hegeman Industrieel Bouwen、Heko Spantenの3社がサーキュラー建設について、Circulariseが製品トレーサビリティプラットフォームについて、Plastic Whale BVがプラスチック建材について、DTESS BV、Gaia Energy、Scope 0の3社が帯水層蓄熱システム(ATES)について、合計8社が取り組み事例を発表した。
その後、質疑応答と意見交換を行った。
(注)建物やインフラに係るデータと製品や材料に関する情報を包括的に記録し、トレーサビリティ(追跡可能性)を確保することで、建築資材の再利用可能性等を可視化するシステム
【環境エネルギー本部】
