小長谷氏
経団連は10月31日、都内で金融・資本市場委員会資本市場部会(松岡直美部会長)を開催した。金融庁企画市場局の小長谷章人企業開示課長から、コーポレートガバナンス改革に関する取り組み等について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ コーポレートガバナンス改革の歩みと現状
わが国では、2014年に投資家の行動原則を定めるスチュワードシップ・コードが、翌15年に上場企業の行動原則を定めるコーポレートガバナンス・コードがそれぞれ策定された。スチュワードシップ・コードが先行して策定された点は、諸外国に例を見ない。
23年以降は毎年、両コードを一体的に検討するフォローアップ会議を開催し、毎年の課題を整理したものを「アクション・プログラム」として公表してきた。
25年6月にまとめた「アクション・プログラム2025」では、企業と投資家の自律的な意識改革に基づくコーポレートガバナンス改革の実質化を促しつつ、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資する対話の促進に向け、コーポレートガバナンス・コードを見直すことが提言された。
これを受け、約5年ぶりにコード改訂の検討に着手する運びとなった。
■ コーポレートガバナンス・コード改訂の柱
今般の改訂(第3次改訂)の柱は、コード全体のスリム化とプリンシプル・ベース・アプローチの徹底である。
現在、コーポレートガバナンス・コードには5の基本原則、31の原則、47の補充原則が設けられている。
このうち補充原則を中心に再整理し、(1)重要性の高い補充原則を原則に統合(2)他の原則等の補助的な位置付けが適切と考えられるものは、その原則のもとに新設する「考え方」に記載(3)コードに記載する必要性が低下した項目等は削除する方向で検討を進めて大幅にスリム化――を図る。
加えて、各企業がコードの目的や趣旨を理解し、自らの状況に即して判断して行動する文化を根付かせるため、コードの目的や狙い、プリンシプル・ベースの趣旨等を盛り込んだ「序文」を設ける方針である。
諸外国のコーポレートガバナンス・コードには、コンプライ・オア・エクスプレインの対象には該当しないものの、企業に助言や各原則への対応方法の具体例等を示しているケースもあり、これらも参考にわが国のコードのスリム化を検討する。
■ 開示制度の簡素化
現行制度下で、上場企業に作成が義務付けられている金融商品取引法上の有価証券報告書と会社法上の事業報告等は、その作成趣旨は異なるものの記載内容の重複が多い。
これらの法定開示書類の作成・監査に関わる実務負担が企業の情報の早期開示を妨げる一因となっているとの指摘もあることから、現在、法制審議会会社法制部会でこれらの一本化(両書類を一体的に開示するのではなく、一つの書類で包摂して監査や開示を行うこと)に向けた議論が進められている。
金融庁は一本化の実現に向け、立法事実や会社法上の論点も踏まえつつ検討を深めていく。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】
