阿南氏
経団連は11月6日、東京・大手町の経団連会館で消費者政策委員会企画部会(楯美和子部会長)を開催した。良品計画の阿南理恵広報・ESG推進部長から、消費者に響く価値を訴求するための取り組みや考え方等について聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ ESG経営のトップランナー目指す取り組み
良品計画は、大量消費社会へのアンチテーゼとして1980年に「無印良品」ブランドを創設して以来、「カタチ」より「実質」を重視する商品開発を続けている。
ものづくりの基本姿勢は、(1)素材の選択(2)工程の点検(3)包装の簡略化――の3点に基づいており、これは創業から変わらない。強い個性を主張して「これ“が”いい」と選ばれるのではなく、満足をもって「これ“で”いい」と選ばれる商品を生み出している。
2021年には「第二創業」を掲げ、経営理念を刷新した。ESG(環境・社会・ガバナンス)経営のトップランナーとして、30年までに「日常生活の基本を担う企業」「地域への土着化を通じて地域に貢献する企業」として、「感じ良い暮らしと社会」の実現に貢献することを目指している。
ESGは、気候変動対策や製品安全の担保、法令順守等、ネガティブスクリーニングを回避するためのリスク管理として捉えられることが多い。しかし良品計画は「ReMUJI(衣服やプラスチックの回収と再商品化)」や空き家の活用、産地の産業支援等、社会課題の解決というポジティブなインパクトを最大化することを重視している。
■ 商品・環境・情報を軸とする誠実なコミュニケーション
無印良品の思想について明確な定義はないが、「着やすい」「使いやすい」等の「信頼感」や、「正直」「押し付けがましくない」等の「解放感」といった「無印良品らしさ」の形容は可能であり、これは時代・場所・人によって異なり、進化する。店舗とスタッフと商品が一体となった空気感が、思想の共有と一貫性を生む。
無印良品の思想を伝えるためには「良い商品」「良い(店舗)環境」「良い情報」が大切である。環境や社会に配慮した「良い商品」を生み出し、商品を売るだけでなく、資源回収ステーションやコミュニティセンター等の機能を持つ「良い環境」を整える。飾らず、正直で、誠実なことばを使った「良い情報」をさまざまな媒体を通じて発信していくことも重要である。
ものづくりにおいてはカーボンフットプリントを算定し、原材料や製造工程の見直しに活用している。ただし、エコであれば消費者に訴求できるわけではない。商品そのものに魅力があってこそ、エコであることがプラスアルファの価値となる。
例えば、再生材を使用した商品は、再生材によって色味に影響が出ることを逆手に取り、全体を黒色のスタイリッシュなデザインに仕上げたことが、エコであることに先立って評価された。
お客さまには、商品と値段のバランスに納得して購入した後で「実はサステイナブルな商品だった」と気付いてもらえれば良いと考えている。サステイナブルな商品が自然に、意識されずに購入される社会、すなわち「サステイナビリティの民主化」を実現したい。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】
