経団連は12月1日、都内でグローバルサウス委員会(安永竜夫委員長、森田隆之委員長)を開催した。日本経済新聞社の脇祐三客員編集委員を招き、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 「理」ではなく「利」で動く世界
米国や日本では、「米国の側か、中国・ロシアの側か」の二元論で世界を見がちだが、グローバルサウスと呼ばれる国々は、自国の安全保障と経済的利益を確保するために、案件ごとに中ロとも米欧日とも連携する。理念や価値観ではなく、自国利益第一で機会主義的に動く国が世界の大半を占める。
トランプ政権下の米国も「理」ではなく「利」を第一に動き、取引を通じて米国の利益を追求する。
欧州外交評議会の調査によれば、第2次トランプ政権の登場に北大西洋条約機構(NATO)諸国や韓国など米国の同盟国が強い警戒感を示した一方、サウジアラビア、インドなどグローバルサウス諸国では歓迎する声が多かった。実際、相互関税をディールの働きかけと認識したベトナムなどは早めに対応に動いた。
■ 中国の経済変調と欧州での「戦略的自律」の広がり
米国の国際的な求心力が低下する一方で、中国の求心力が強まったとはいえない。経済成長の鈍化に伴い、競合企業が多過ぎる、生産能力が大き過ぎる、生産量が多過ぎる、という中国の構造問題が深刻化した。米国の代わりに中国が輸入を増やす余力は乏しい。むしろ中国はASEANやアフリカなどへの製品の輸出を増やしている。
中国が拡大した途上国向け融資のかなりの部分が不良債権化しているが、中国は債務削減には応じず、リスケジュールや人民元による追い貸しで対応している。アフリカでは対中貿易赤字拡大への不満も強く、新たな「南北問題」になりつつある。
欧州諸国はウクライナの問題を巡って安全保障を米国に頼るリスクを認識し、「戦略的自律」の意識を強めている。
戦略的自律はインド外交のキーワードでもあり、米中両にらみのASEAN外交を指す場合もあるが、現状は「米国離れ」ではなく、米国の関与をつなぎ止めようとする狙いが強い。
■ 連携強化に向けた日本への示唆
多くの新興国の指導者にとって、米中の二者択一という選択はない。アジアでは、ベトナム戦争を知らない世代のリーダーが増えつつある。かつての軍国主義的な日本や帝国主義的な米国ではなく、強大化する中国と向き合ってきた世代だ。
日本は中国と向き合ううえで、ASEANやインドとの連携をさらに深める必要がある。
人口が急増するアフリカは、鉱物資源のサプライチェーン構築の観点からも重要だ。日本は、アフリカとの人的なつながりが強いインドやアフリカへの投資を拡大する湾岸諸国とも連携しながら、アフリカが重視する食料、エネルギー、医療の分野での関係強化に取り組むべきだ。
【国際協力本部】
