松本氏
陣門氏
経団連は12月11日、東京・大手町の経団連会館で労働法規委員会国際労働部会(市村彰浩部会長)を開催した。日本アイ・ビー・エムの松本宗樹人事労務部長、陣門亮浩コンサルティング事業本部組織人材オペレーション変革理事・パートナーから、HR(人材)部門におけるAI活用について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ HR部門のAI活用
IBMコーポレーションは、1990年代の経営危機以降、構造改革に挑戦し、ハードウェア中心のビジネスからサービス、クラウド&AIへと事業ポートフォリオを大きく転換してきた。
当社では、まずゼロ番目のクライアントとして自社内のAI活用をはじめとするデジタルトランスフォーメーション(DX)を実践し、得た経験や知見をもとに、クライアント企業へ展開して、AI活用や業務改善を支援している。
例えば、人事部門への問い合わせ対応の効率化を目指し、システム「AskHR」を社内で導入している。AIによる自動サポート対応(チャットボット)と、必要に応じてヒューマン・アドバイザーが対応することで、一体感のある連携を実現している。
導入に当たっては、従来の複雑なシステムや業務を可能な限りシンプルにしたうえで、AIで自動化した。AIが急速に発達するなか、AskHRで対応可能な範囲も広がっており、社員が依頼内容を入力すると、AIが業務手順書を参照して自ら作業計画を立案し、複数のシステムに指示して業務を自動的に完了させることも可能だ。
当社は現在、AskHRをはじめとする業務・業界特化型のAIソリューションを他社に提供している。
■ 企業のAI導入のポイント
企業のHR部門にAIを導入する際の課題としては、AI主導による企業変革の未来像を描けない、AI活用のためのデータが整備されていないといった声が挙げられる。
ただし、全社的な視点が必要となるタレントマネジメントと比較すると、現場の人事業務を効率化する場合には、従来人間が扱っていた人事基幹システムなどのデータが利用できれば十分だ。
むしろAIが判読できる業務手順書を準備すること、AIが作業できるようにジョブを切り分けるような業務プロセスの再設計が求められる。経営層から現場に至るまでのマネジメントの意識変革も重要だ。
AIが急速に発達するなか、業務に必要なITツールは社員自らが開発しやすくなっている。クライアント企業の現場が変革を受容し、新しいテクノロジーを活用するためのスキルを身に付けて実践できるような支援に注力している。
近年では、クライアント企業の人事担当者が当社に出向したり、合弁会社を設立して一緒に開発してスキルを磨いたり、当社の人材育成プラットフォームで学習を重ね、自社の現場に持ち帰ってもらうといった大規模な支援も実施している。
DXを実践し、自社の変革に取り組んできたノウハウをもとに、今後も企業のAI導入や業務プロセス変革を支援していく。
【労働法制本部】
