日本再生に向けた行動を
今月は米国大統領選挙だが、その行方はさておき、対外経済政策に関しては、成長著しいアジア太平洋地域に軸足が置かれるものと考える。そして、その中核となる政策はいうまでもなく環太平洋経済連携協定(TPP)だ。
今月は米国大統領選挙だが、その行方はさておき、対外経済政策に関しては、成長著しいアジア太平洋地域に軸足が置かれるものと考える。そして、その中核となる政策はいうまでもなく環太平洋経済連携協定(TPP)だ。
3・11を契機として、日本のエネルギー政策の抜本的見直しが進められ、今年9月、政府のエネルギー・環境会議は、「革新的エネルギー・環境戦略」を取りまとめた。エネルギーは国民生活や企業活動に不可欠の要素であり、エネルギー政策は国家戦略の根幹ともいえる。経団連は、エネルギー政策について、安全性(Safety)を大前提に、エネルギー安全保障(安定供給)(Energy Security)、経済性(Economy)、環境適合性(Environment)の適切なバランスを図り(S+3E)、原子力を含むエネルギーの多様性を維持しつつ、現実的なエネルギー政策を構築するよう訴えてきた。
西田厚聰 (経団連副会長/東芝会長)
今回のエネルギー政策の検討過程では、経団連も三度にわたり提言を取りまとめ、政府や与党に説明してきたが、十分意見をくみ取ってもらえなかった。「革新的エネルギー・環境戦略」については、原発の再稼働が明記されたことは評価できるが、政府の成長戦略との整合性が取れていないなど、多くの矛盾・問題があり、抜本的に見直すべきだ。産業界としては、今後も、安全確保を含む原発技術の向上、再生可能エネルギーの技術革新、省エネ、温暖化対策に取り組んでいきたい。
崎田裕子 (ジャーナリスト、環境カウンセラー/持続可能な社会をつくる元気ネット理事長)
今回の検討は、国民が直接議論に参加する場を設けたことなど、これまでになくオープンに行われた点は評価できる。しかし、短い期間で意見を集約したこと、国民生活、経済に与える影響を十分に説明しきれなかったこと、事故による国民の不安感に結論が引きずられてしまったこと等、問題もある。エネルギー源の変革や電力システム改革の実行に当たっては、政府・産業界はもちろん、国民も当事者としての自覚を持って取り組まなければならない。
澤 昭裕 (21世紀政策研究所研究主幹)
今回の検討過程で、政府は選択肢だけを国民に示して、その選択の判断を丸投げしたことは残念。自らの案を示し、説明したうえで議論を進めるべきであった。エネルギーは国民生活、経済を支えるインフラである。持続可能な経済成長と国民生活の安定をもたらすことがエネルギー政策の目的であり、そのための手段としてどのようなエネルギーミックスを構成するべきかを考えることが筋。原子力をどの程度にすべきかは、そうした観点から検討すべきであり、原子力ゼロのように手段を目的化するような議論の仕方はおかしい。
林田晃雄 (読売新聞論説委員)
「2030年代に原発稼働ゼロ」という方針が、最終段階で急遽盛り込まれたのは問題だ。原発の安全性に対する「国民の不安」を利用し、選挙に有利になるよう結論をねじ曲げたのではないか。国民生活や経済への影響や対応策について、具体的に触れていない点にも違和感を覚える。直ちに、現実的なエネルギー戦略につくり直すべきだ。産業界は、国民にきちんと意見を聞いてもらえるよう、信頼回復に努めてほしい。
椋田哲史 (司会:経団連常務理事)
エネルギー政策転換の費用負担と経済成長
野村浩二 (慶應義塾大学産業研究所准教授)
現在、多くの企業が、イノベーションの創出や生産性の向上を図ることを目的に、人材活用や職場の活性化を進め、多様で柔軟な働き方の実現を重点課題として掲げている。各企業におけるワーク・ライフ・バランス施策や、人材育成支援などに関する取り組みを紹介しつつ、企業と従業員が互いの成長を実現できる働き方とはどのようなものか、将来に向けた道筋を探る。
三浦 惺 (経団連副会長・労働法規委員長/日本電信電話会長)
グローバル競争が激化するなかで、多様な人材を確保することは、企業にとって重要な課題である。女性や外国人など人材の多様化に伴い、採用形態・雇用形態も多様化しているが、そうしたなかで個人が能力を発揮できるようにする取り組みは不可欠だ。NTTグループでも、グループ各社にダイバーシティー推進室を設置し、企業文化・風土の改革を進めている。しかし、労働規制の強化はこうした多様化の流れを妨げる可能性がある。
石塚邦雄 (三越伊勢丹ホールディングス会長)
百貨店業界は、現場の力を大事にしている業界であるが、その現場は多くの女性従業員に支えられており、女性が子育てをしながら働けるシステムの構築に力を入れている。人材育成の面では、取引先にも門戸を開いたさまざまな研修プログラムを行っているほか、組織として人材を育成する仕組みとして、「職場の約束」運動を展開し、海外を含めた約1500のチームが取り組んでいる。
河本宏子 (全日本空輸上席執行役員客室本部長)
空港や機内において、お客様と直接接するフロントラインは、女性社員の比率が高い。ライフステージの変化を迎えても、高い専門性を発揮し、生き生きと活躍してもらうために、多様な働き方の促進を図ってきている。またグループを支える基盤である「多様性を強みに変える組織風土」を構築するために、グループ横断的な研修や人材交流、対話を促進している。毎年、従業員満足度調査(ESS)を行い、経年変化を確認している。
有馬 誠 (グーグル代表取締役)
新しい価値・サービスを生み出すためには、自由な発想が不可欠であり、従業員一人ひとりの働き方にもかかわってくる。グーグルでは、早くからワーク・ライフ・バランスの向上に取り組んできた。また、社員の自発性・創造性を重んじる制度として「20%ルール」がある。メールサービスのGmailなどはこの制度から生まれた。
川本裕康 (司会:経団連常務理事)
プロフェッショナル育成に向けた自主的キャリア形成支援
前田新造 (資生堂会長)
「シゴトダイエットプロジェクト」による生産性の向上
長榮周作 (パナソニック副社長・エコソリューションズ社社長)
女性の活躍推進は経営戦略そのものである
~キリングループの女性活躍推進
小川 洋 (キリンホールディングス常務)
管理監督職の「長」の復活
~強いチームづくりのために
都築昇司 (デンソー常務役員)
「夢多゛採り活動」を通じて実現する自己成長と生産性の向上
篠原真人 (キユーピー執行役員生産本部副本部長)
多面評価と適正配置による個人の力の最大発揮
平山誠一郎 (J.フロントリテイリング執行役員)
生産革新による個人の能力発揮と企業哲学の実践
西山正人 (オムロン綾部工場長)
オーナーシップ文化の醸成による自律した組織と個人の確立
中田るみ子 (ファイザー・ホールディングズ執行役員人事・総務部門長)
戦略と実行のギャップをなくす
河南順一 (日本マクドナルドCR本部インナーコミュニケーション部長)
ホワイトカラーの働き方に対応した労働時間法制の将来像
島田陽一 (早稲田大学法学学術院教授)
自らが描く企業像の実現に向け、企業価値向上に取り組むベンチャーに学ぶ
~起業シンポジウム「オンリーワンで市場を拓く」を開催
荻田 伍 (経団連副会長・起業創造委員会委員長/アサヒグループホールディングス会長)
大久保尚武 (経団連審議員会副議長・起業創造委員会共同委員長/積水化学工業取締役相談役)
国内における投資や雇用の維持・拡大に資する税制の整備を
~平成25年度税制改正に関する提言について
(経団連経済基盤本部)