三浦 惺 (経団連副会長・労働法規委員長/日本電信電話会長)
グローバル競争が激化するなかで、多様な人材を確保することは、企業にとって重要な課題である。女性や外国人など人材の多様化に伴い、採用形態・雇用形態も多様化しているが、そうしたなかで個人が能力を発揮できるようにする取り組みは不可欠だ。NTTグループでも、グループ各社にダイバーシティー推進室を設置し、企業文化・風土の改革を進めている。しかし、労働規制の強化はこうした多様化の流れを妨げる可能性がある。
石塚邦雄 (三越伊勢丹ホールディングス会長)
百貨店業界は、現場の力を大事にしている業界であるが、その現場は多くの女性従業員に支えられており、女性が子育てをしながら働けるシステムの構築に力を入れている。人材育成の面では、取引先にも門戸を開いたさまざまな研修プログラムを行っているほか、組織として人材を育成する仕組みとして、「職場の約束」運動を展開し、海外を含めた約1500のチームが取り組んでいる。
河本宏子 (全日本空輸上席執行役員客室本部長)
空港や機内において、お客様と直接接するフロントラインは、女性社員の比率が高い。ライフステージの変化を迎えても、高い専門性を発揮し、生き生きと活躍してもらうために、多様な働き方の促進を図ってきている。またグループを支える基盤である「多様性を強みに変える組織風土」を構築するために、グループ横断的な研修や人材交流、対話を促進している。毎年、従業員満足度調査(ESS)を行い、経年変化を確認している。
有馬 誠 (グーグル代表取締役)
新しい価値・サービスを生み出すためには、自由な発想が不可欠であり、従業員一人ひとりの働き方にもかかわってくる。グーグルでは、早くからワーク・ライフ・バランスの向上に取り組んできた。また、社員の自発性・創造性を重んじる制度として「20%ルール」がある。メールサービスのGmailなどはこの制度から生まれた。
川本裕康 (司会:経団連常務理事)
- ●多様な従業員を活かす働き方の実現
- 労働規制の強化は多様化の流れを阻害する
- 新しい価値・サービスの創造を支える自由な働き方
- 有期社員の正社員化にも積極的に取り組む
- ●ワーク・ライフ・バランスの推進
- 女性が子育てをしながら働けるシステムの構築を
- 女性の力も活かしていくことが課題
- 在宅勤務を含めた多様な働き方を推進
- しっかり働いて、しっかり休むことが大切
- ●多様な従業員の安全・衛生、健康の確保
- 「ANA健康フロンティア宣言」が目指すもの
- 「360度サーベイ」で管理職の「マイクロマネージ」をチェック
- 社員の健康状態の「見える化」を進める
- 管理職の管理技術を上げることで、セクハラ・パワハラを防ぐ
- ●イノベーション創出を加速させる働き方の実現
- 「20%ルール」で社員の自発性・創造性を育てる
- 「ANA人財大学」の取り組み
- 現場全体のスキルアップを図る研修プログラム
- 画一的な規制は、働き方の多様化を妨げる
- 労働時間にフレキシビリティーを持たせることが大切
- ●積極的に変化を取り込む組織の実現
- 「職場の約束」運動による組織としての人材育成
- 対話の積み重ねが、働きやすい職場・組織をつくる
- トップとの直接対話が社員のモチベーションアップにつながる
- コミュニケーションが企業の力の源泉