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月刊 経団連 座談会・対談 活力ある未来に向けて ~労使一体となって危機に立ち向かう

川本裕康
司会:経団連常務理事

湯元健治
日本総合研究所副理事長

山口範雄
経団連審議員会副議長
味の素会長

篠田和久
経団連副会長
王子ホールディングス会長

宮原耕治
経団連副会長・経営労働政策委員長
日本郵船会長

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宮原耕治 (経団連副会長・経営労働政策委員長/日本郵船会長)
日本企業は、長引くデフレのもとで、六重苦というハンディキャップを抱えながらも、何とかやってきたというのが実感である。この状況を放置すれば、産業の空洞化が進み、雇用の減少を招くだろう。安倍新政権の経済対策(アベノミクス)では、金融政策、財政政策とともに、三本目の矢と位置付けられている成長戦略が重要である。春季労使交渉・協議に向けては、課題解決型の「労使パートナーシップ対話」を重視したい。

篠田和久 (経団連副会長/王子ホールディングス会長)
政権交代後、円高・デフレ対策や公共投資などの金融・経済財政政策が打ち出されたことで、為替は円安に振れており、窮地を脱しつつある産業もあるだろう。しかし、輸入原材料・燃料に依存している製紙産業の場合は、円安はマイナスに働くため、短期的には負の影響は避けられない。製造業中心に日本企業の競争力を回復するには時間を要する。安倍新政権には、規制改革・税制改革など、産業の競争力強化と持続する経済成長政策を打ち出してもらいたい。

山口範雄 (経団連審議員会副議長/味の素会長)
食品産業は、人口減少・高齢化による国内需要の悪化という構造的な問題を抱えている。国内市場での横断的な競争、グローバル市場での熾烈な競争のなかで生き残らなければならない。政策面では、日本企業の競争力を強化する観点から、国際的な事業のイコールフッティングの確保とともに、事業活動を促す柔軟な規制緩和が望まれる。春季労使交渉・協議に向けては、労使トップ同士による総論だけでなく、さまざまなレベルでの各論のコミュニケーションが重要である。

湯元健治 (日本総合研究所副理事長)
安倍新政権が掲げた経済対策(アベノミクス)は、マーケットに好感され、滑り出しは上々といえる。しかし、日本経済を取り巻く環境が完全に改善されたわけではない。連合が主張する1997年レベルへの賃金復元論も、中小企業に対する一律1%の賃金引上げの要求も、経済学的な観点から合理性があるとはいえない。労使双方が将来展望を持って、賃金だけでなく社会保険料等を含めたトータルでの議論を行う必要があるだろう。

川本裕康 (司会:経団連常務理事)

  • ●一段と厳しさを増す国内事業活動と現状打開への道
  • 「アベノミクス」に対する期待
  • 三本の矢のうち「成長戦略」が最も重要
  • 日本企業の国際競争力を強化する施策を
  • グローバル市場での熾烈な競争のなかで
  • ●競争に打ち勝ち、成長を続けるための人材戦略
  • 中核人材は海外で育成する
    ~日本郵船の場合
  • 基幹人材と基幹ポストの見える化
    ~味の素の場合
  • 労働政策、労働法制のあり方は国家運営の焦点
  • ワーク・ライフ・バランスの推進は投資
  • ●春季労使交渉・協議に臨む経営側の姿勢について
  • 「労使パートナーシップ対話」は日本的経営の知恵
  • トップが経営環境を直接説明し理解を得るべき
  • 「総論」だけでなく「各論」を
  • 厳しい経営環境に対する覚悟を労使で共有すべき
  • 海外で上げた利益を国内で配分することは難しい
  • 法定福利費の企業負担増を視野に入れた議論を
  • 単純な賃上げ要求ではなく、合理的・総合的な判断を

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