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月刊 経団連 巻頭言 グローバル社会の発展を支える人と人の交流を深めよう

宮永俊一 (みやなが しゅんいち) 経団連副会長/三菱重工業社長

世界の政治・経済の不透明感と変動の幅が増大するなかで、アジア地域の相対的な安定感と成長可能性が注目されてきている。そのアジア地域の一員であるわが国の企業は、アジアの各国において昔からさまざまな活動を行っている。

そして、このアジア地域は、近年の経済や社会の発展に伴い、今や製造におけるサプライチェーンの拠点であるだけでなく、製品の製造から販売・サービスまでの一貫した事業活動をも行う、わが国にとり非常に重要な地域となっている。

かかる緊密な関係をさらに発展させることは、同地域全体がより高水準の自由貿易経済圏に成長し、わが国企業の事業機会も拡大すると同時に、世界の経済や政治の安定に大きく寄与していく。

他方、アジアの多くの国が、自律的な経済成長に必要な産業振興を促す活力の不足や、環境や都市への人口集中に伴う交通の問題などに直面していることも現実である。それら問題のほとんどに関し、経験や対応技術・ノウハウを有する日本への期待は大きく、わが国企業にも従来以上に質の高いソリューションや技術の提供が求められている。現に、アジア諸国においては、“Look Japan”の発想、すなわち、諸課題を着実に解決してきた日本への敬意と親近感を抱く若い世代が増えていると聞く。

一方で、近年のグローバル社会において、この魅力あるアジア地域をめぐる国際的な企業競争は激化しており、技術の向上とともに、市場のニーズに適した製品やサービスの提供、地域との協力関係の拡大をさらに図る必要がある。そのためには、企業間だけでなく、人と人の絶えざる交流により、後々までつながる深い信頼感を互いに醸成することが大切である。

私自身も、現在の不透明感に惑わされることなく、税制、防衛産業、むつ小川原開発推進や国際交流などの経団連活動を通じ、グローバル化する社会の成長に資する人々の育成や技術の交流に少しでも貢献したいと、陽気兆す如月(気更来)を迎えて思う次第である。

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