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月刊 経団連

月刊 経団連2019年3月号

特集 働きがい向上とイノベーション創出 by Society 5.0

巻頭言

「明るい未来のある日本」に向けた働き方改革

根岸修史 (経団連審議員会副議長/積水化学工業相談役)

日本で少子高齢化問題が顕在化してから久しい。このまま対策を打たなければ、2050年には総人口が1億人を割り込むとも推計されており、足元での人手不足は深刻だ。他方、ITやAI、ロボティクスなどの革新技術により仕事を取り巻く環境は激変しており、企業が持続的に成長するためには、働き方改革の推進が待ったなしだ。

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特集

働きがい向上とイノベーション創出 by Society 5.0

今年1月に公表された「2019年版経営労働政策特別委員会報告」では、Society 5.0を視野に置きながら、新たな時代にふさわしい働き方の実現に向けた諸課題を整理している。なかでも、働き方改革のさらなる推進と労働生産性の向上に一体的に取り組むこととあわせて、そのために不可欠なイノベーションを起こす人材育成の重要性を強調している。
本座談会では、イノベーション創出による生産性向上と人材育成のあり方について、各社の取り組み状況を踏まえ、重点的に検討。そのうえで、各社の実情に即した働き方、処遇のあり方など、今次春季労使交渉・協議における主要な論点を明らかにするとともに、企業労使の議論の方向性を展望する。

座談会:イノベーション創出による生産性向上と人材育成

  • 工藤泰三 (経団連副会長、経営労働政策特別委員長/日本郵船会長)
  • 中村天江 (リクルートワークス研究所主任研究員)
  • 小堀秀毅 (経団連審議員会副議長/旭化成社長)
  • 進藤清貴 (経団連雇用政策委員長/王子ホールディングス会長)

PDF形式にて全文公開中

工藤泰三(経団連副会長、経営労働政策特別委員長/日本郵船会長)
海運業界はコモディティー化が進み、操船や安全性担保が難しい領域のみが付加価値の高いビジネスモデルとなっている。そうしたなか、当社では、船舶データや気象情報の一元管理による運航サポート、世界中のコンテナ位置・状態のビッグデータを活用したイールドマネジメントなど、デジタル技術の活用で高付加価値化を図っている。また、船員の質の向上が安全・安定輸送という点で競争力強化の鍵となるため、フィリピンに商船大学を設立するなど、優秀な人材の育成・確保にも努めてきた。今次労使交渉・協議に向けては、賃金だけでなく総合的な処遇改善について労使の議論を深めていきたい。

中村天江(リクルートワークス研究所主任研究員)
イノベーション創出に向け、高度専門人材にとって魅力的な処遇制度を導入し、育成を強化する取り組みを支持する。今回の経労委報告は、総合的な処遇改善により従業員のダイバーシティに基づく重点配分を打ち出した点、教育投資の重要性を述べている点を評価する。今後、同一労働同一賃金に伴う待遇説明の強化により、正社員以外の方々のモチベーションが向上し、企業の生産性が上昇することを期待する。

小堀秀毅(経団連審議員会副議長/旭化成社長)
当社は、「収益性の高い付加価値型事業の集合体」という2025年の姿を見据え、多角的な事業と多様な人財の結束で、次なる飛躍の基盤づくりを行っている。デジタルトランスフォーメーションによるイノベーション創出を実現するために、素材分野で「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」を導入するなど、さまざまな取り組みを進めている。2017年に「高度専門職制度」を改定。また、働き方改革を超えた「働きがい改革」も進めている。今次労使交渉・協議では、経労委報告に基づき、総合的な処遇改善に重点を置いて議論したい。

進藤清貴(経団連雇用政策委員長/王子ホールディングス会長)
製紙産業は、SDGsと親和性の高い産業である。当社では、150年近い歴史のなかで培った、木質資源や紙を活用する技術を応用し、SDGsへの取り組みを進めている。イノベーション創出を加速するため、人事面での後押しとして「認定研究員」制度を導入し、高度な専門知識を有する研究員に、革新的な研究開発に集中できる環境を整えている。2014年度下期より働き方改革に本格的に取り組むとともに、人事制度改革やダイバーシティの推進も行っている。今次労使交渉・協議では、従来どおり、賃金引き上げは会社業績を賞与に反映すること、「増益=増額、減益=減額」にのっとることが、基本な考え方である。

椋田哲史(司会:経団連専務理事)

  • ■ イノベーション創出による生産性向上と人材育成
  • コモディティー化する海運業界、デジタル技術の活用は不可欠
  • マテリアルズ・インフォマティクスで素材開発を加速
  • 「紙」を活用した技術でSDGsに取り組む
  • 働く人たちのキャリアもサステナブルに
  • 若手キャリアをグローバル人材として育成していくことが課題
  • フィリピンに商船大学を設立、優秀な船員を育成・確保
  • 働き方改革を超えて「働きがい改革」を目指す
  • 日本企業は尖った人材を尖ったまま育てていけるか
  • ■ 2019年春季労使交渉における経営側の基本スタンス
  • 2019年版経労委報告のポイント
  • 総合的な処遇改善を重視
  • 春季労使交渉の期間に限らず、労使双方で議論を尽くすべき
  • Society 5.0による働きがい向上とイノベーション創出
  • 多様性に基づく重点配分、教育投資の重視を評価する

すべての働く者の「底上げ」と働き方の見直しを同時に推し進める
―2019春季生活闘争の意義と役割
 神津里季生(日本労働組合総連合会会長)

  • 「格差是正」の実効性を高めるため「上げ幅」のみならず「賃金水準」を追求する
  • 働き方も含めた「取引の適正化」と「賃上げ」「働き方の見直し」を同時に推し進める

多様な人材が活躍する魅力ある愛知を目指して
 加藤宣明(愛知県経営者協会会長/デンソー相談役)

  • ものづくり愛知の現状と課題
  • 愛知の産業基盤を支える外国人の活躍と共生
  • 愛知の次世代を担う新たな人材の確保と育成
  • 春季労使交渉・協議に向けて

デジタル変革と組織文化
 神岡太郎(一橋大学経営管理研究科教授)

  • 組織文化・価値観の共有
    ~デジタル・ネイティブ企業の行動特性を支えるもの
  • 文化は戦略に勝る
  • デジタル時代に求められる“民主化された組織文化”
  • デジタル変革の本質は企業の組織文化の創造的破壊

イノベーションを生み出す人事戦略
 守島基博(学習院大学経済学部教授)

  • 企業における創造性

春季労使交渉のあり方
 荻野 登(労働政策研究・研修機構労働政策研究所副所長)

  • 春季労使交渉が持つ社会的役割
  • 大きな転換点に直面する春季労使交渉
  • 賃金交渉に求められる情報収集・共有と「人への投資」のベクトル合わせ

未来の社会を支える会社を目指して
 早川泰宏(帝人人事・総務管掌)

  • One Teijin活動の概要
  • One Teijin Award
    ~変革のための「アイデア」と「アクション」を表彰
  • 帝人流働き方改革「WAKU! WAKU! WORK」
  • 100周年記念プロジェクト「THINK HUMAN PROJECT」の展開

独自の人財育成施策:「デジタル人財育成」と「マネジメント研修」
 髙﨑隆浩(三井住友海上火災保険人事部部長兼能力開発チーム)

  • デジタル人財の育成
  • 部支店マネジメント研修

面談・フィードバックを重視し 社員の自発的学びを支援する環境づくり
 長谷川真由美(日本ヒューレット・パッカード人財開発本部マネージャー)

  • 社員の自律性こそがビジネス成功に貢献
  • 人材育成の基本的考え方
  • 経験・関係・教育の視点で環境整備

2019年版経営労働政策特別委員会報告を公表
―働きがい向上とイノベーション創出 by Society 5.0
 (経団連労働政策本部)

  • 働きがいを高める働き方改革と労働生産性向上
  • 雇用・労働分野における諸課題
  • 2019年春季労使交渉・協議における経営側の基本スタンス

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一般記事

【提言】
新たな時代の通商政策の実現を求める

―世界貿易機関(WTO)の改革を中心に
http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/004.html
 早川 茂(経団連副会長、通商政策委員長/トヨタ自動車副会長)
 中村邦晴(経団連審議員会副議長、通商政策委員長/住友商事会長)

  • 現行のWTOのもとで顕在化する通商摩擦
  • WTOの機能回復に向けた制度改革
  • WTOを補完する経済連携等の推進
  • 日本の役割・経済界の役割

日イスラエルの関係強化に向けて
―経団連として5年ぶりにイスラエルを訪問
 篠原弘道(経団連審議員会副議長/日本電信電話会長)

  • Society 5.0を通じた二国間協力関係の構築をネタニヤフ首相に訴求
  • 日イスラエルビジネスの緊密化に向けて熱のこもった議論を展開
  • 日イスラエル協力の新たな展望

再犯防止に向けて
―2018年度「就労支援強化月間」の推進にあたってのお願い
 山下貴司(法務大臣)

  • 再犯防止に向けた就労支援のお願い
  • 再犯防止推進法の制定
  • 再犯防止における就労の確保の重要性
  • 経済界の皆様へのお願い

連載

  • 経営者のひととき
    愛犬たちとの生活
    柵山正樹(三菱電機会長)

  • Essay「時の調べ」
    老いは「劣化」ではなく「変化」
    平松 類(医学博士・眼科医)

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