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月刊 経団連 巻頭言 オンラインの良さも取り入れ、新たな可能性を生む産学連携

武内 紀子 (たけうち のりこ) 経団連審議員会副議長/コングレ社長

産学連携は以前から様々な形で行われてきた。その中で迎えた2020年来のコロナ禍。大学も企業も、時代の変化への対応や新しい人材育成のあり方を模索している。

当社が手掛ける「MICE」〔(企業等の会議(Meeting)、報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際会議・学会(Convention)、展示会・イベント(Exhibition/Event)の頭文字の造語〕の分野は、産業界に加え、主要テーマの1つの学術を通じ、大学や研究機関との関係も深い。MICEの持つ地域活性化や人材育成への産学における期待は大きい。

4月から長崎市と協同で、長崎大学経済学部での「MICE人材育成プログラム」をスタートした。長崎市がPFI(民間資金を活用した社会資本整備)で11月の開業準備を進める、JR長崎駅直結の大型MICE施設「出島メッセ長崎」と連携した取り組みである。オープンイベントの1つとして、学生企画を施設で行う予定だ。

学生からは、「イベントをビジネスにするにはどうすればよいか」という真摯な質問を受け、社員にとっても毎週、仕事のやり方や意義を見つめ直す機会となっている。学生達が地域の未来を考える契機となり、いずれ仕事を通じた地域貢献に繋がり、まちづくりを担う人材へと育ってくれれば、これほどうれしいことはない。

また、今年の2月には、女性のリカレント教育のパイオニアである関西学院大学「ハッピーキャリアプログラム女性リーダー育成コース」で、講義する機会をいただいた。

受講生には企業の第一線で働く人も多い。多様なバックグラウンドや価値観を持つ仲間と、社内研修では経験できない実体験に基づくディスカッションを行い、ネットワークを構築する機会はとても貴重だ。

私はオンラインでの講義を担当したが、リアルがもたらす触発に加え、コロナ禍で広まったオンラインも駆使して、リカレント教育の可能性は確実に広がると感じている。

できることからやってみる。そこから生まれる産学連携の技術開発や学生、社員の教育は少しずつ実を結んでいくだろう。

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